リニア中央新幹線が開通しても「のぞみ」のほうが便利
では、リニア中央新幹線が開通するとどうなるのか?
現状、東海道新幹線「のぞみ」の品川駅から名古屋駅までの所要時間は約1時間30分である。それに対し、リニア中央新幹線の品川駅から名古屋駅の所要時間は約40分と見込まれている。
一見すると、両者の所要時間の差は大きい。だが、品川駅と名古屋駅のリニア新幹線用ホームは、地下深くに設置される予定である。そのため、リニア新幹線への乗り換えに必要な時間を、品川駅と名古屋駅それぞれで約10分ずつと考えると、実質的な所要時間は約1時間。「のぞみ」との差は約30分に縮まる。
そのため、リニア中央新幹線が開通した場合でも、品川―名古屋間の乗客の多くは、乗り換えを嫌い、通常の「のぞみ」で十分と考えるだろう。
また、東京駅から新大阪駅へ移動する場合を考えると、リニア中央新幹線に乗るには品川駅で乗り換えが必要になるので、在来線に乗り換える必要がある。そのため、リニアではなく、通常の「のぞみ」で東京駅から新大阪駅へ向かう乗客も多いと考えられる。
こうした問題が考えられるため、JR東海では、東海道新幹線の停車駅を増やし、リニアの優位性を際立たせることで、東海道新幹線とリニアの棲み分けを図ると考えられる。
しかし、それでも品川―名古屋間のリニア移動は、乗客にとって心理的なハードルが高いのではないだろうか。リニアは新大阪まで開通しないと、その実力をフルに発揮することは難しいと思われる。