制服の撤廃に取り組む

お茶くみ廃止だけでなく、窪田さんは入社1年目の身でありながら、女性差別的な慣習にさらに切り込んでいく。それが、制服の撤廃だ。店頭での制服は店の演出手段だから容認できるが、窪田さんが問題視したのは、非営業職の女性の制服だった。女性だけがベストとスカートというお仕着せの制服を着用しなければならなかった。

デスクワークをする女性社員
写真=iStock.com/Promo_Link
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お茶くみ騒動で懲りたので、今度はもっと上手にやった。それが、顧客からの指摘をきっかけに上層部に訴えかけることだった。

「地方の催事でご一緒した顧客が、東京に行くのでそのときに相談したい案件があるとのことでした。東京での私は会場と違って制服を着ていますから、同じ方と思えず、がっかりしたと。この話を上司にしました。顧客から言われたということで、あの時はすぐに要望が通りましたね」

総合職となり、デザインの仕事から離れる

1986年、男女雇用機会均等法が施行された。これにより、男女間の給料格差は無くなった。窪田さんは、総合職・第一世代となった。

「総合職制度というのは均等法施行後すぐに、うちでも導入されました。デザイナーは全員、自動的に総合職になったのですが、『あなたは総合職になったのだから』と、望んでもいないのに別の部署に異動させられたんです。デザイナーなのに、苦手な事務仕事です」

なぜ、この仕事をするのかと上司に詰め寄ったが、答えは「あなたは、総合職だから」。

社内を見渡せば、販売スタッフで総合職になった人が転勤を急に命じられたり、総合職を嫌い、給料は下がってもあえて「一般職」を選ぶ人もいた。確かに均等法で男女同一賃金となり、給料は上がったものの、窪田さんの実感はハッピーでも、バラ色の未来を思い描けるわけでもなかった。

「総合職を作ったけれど、会社が社員を思い通りに動かして、実態としては男女の機会均等というより、会社に利用されている感じでしたね」