「これを選んだら先々どうなるか」を考えさせる

考えることが苦手な子というのは、裏を返せば、何も考えずにパッと思いつきで飛びついてしまうということでしょう。そうならないためには、「これをしたらこうなるから、だから、こうしなければならない」という行動の順序立てを行ない、一歩先、二歩先を読む練習をするということが効果的です。例えば、以下のような課題があります。

「Aさんは学校で、あるグループに入れてほしいと思いました。しかしリーダーのBさんは、グループに入りたければ、店でブレスレットを盗んでこい、と言いました。Aさんは友だちがいなくて、いつも一人ぼっちだったので、どうしてもグループに入りたいと思いました」

これはブレスレットを盗んでも、盗まなくても、メリットとデメリットがあります。とても悩む問題だと思います。机の上でこのような課題に取り組んでもいいですし、日常生活の中でも「もし、これを選んだら、先々どうなるか」ということを考える場を提示してあげてもいいでしょう。

考える材料は、日々の生活の中にたくさんあります。「ある目的地まで急いで行かないといけないときに電車が止まった。どうすればいいか」、「親友とけんかした。どうやって仲直りすればいいか」などなど。そのとき、親が先に答えの案を出してしまって、子どもに従わせるというやり方は、とりあえずは親も子どもも安心はできますが、一方で子どもの考える力を奪ってしまう可能性もありますので要注意です。

1日2時間以上…子供にゲームをやめさせるには

ゲームやYouTubeを楽しむ時間が毎日2時間以上にのぼるという習慣がついてしまっている子どもも少なくありません。そんな子どもの保護者から、「止めさせるには、どうすればいいですか?」という相談を受けることもあります。しかし、私は、単に止めさせるだけでいいのかと疑問に思うことがあります。

宮口幸治『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』(PHP新書)
宮口幸治『「立方体が描けない子」の学力を伸ばす』(PHP新書)

我々の子どものときには「マンガばっかり読んで!」と言われていましたが、多くの場合、マンガを取り上げても、別のものに移行するだけです。

賛否両論があるかもしれませんが、私自身は、そもそもスマホやゲームが悪いものだとは思っていません。依存しない子は、そもそも自己管理がしっかりできているのです。だから、いくらゲームがあっても依存しません。スマホやゲームをしていても自己管理ができる子は学力が高いという報告もあるくらいです。

一方、ゲームばかりに依存している子は、ゲームを取り上げても別のものに依存する傾向があります。つまり、そもそも自己管理ができるか、できないかで二分化されているように思います。

ゲームをする子
写真=iStock.com/gorodenkoff
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