学歴における「長男プレミアム」

長男の学歴や年収に関して、政策研究大学院大学の藤本淳一准教授らが研究を行っています(*1)。この研究では2000年から2012年までの日本版総合的社会調査(JGSS)というデータを使用しており、比較的近年の状況を示しています。

研究では学歴に関する興味深い2つの分析結果が示されています。

1つ目は学歴における「長男プレミアム」の存在です。第1子目の男の子の場合、教育年数が延びる傾向がありました。都市部と農村部で違いがあるのかという点も検証されていましたが、明確な違いは確認できませんでした。

やや意外ですが、日本では地域に関係なく学歴面での「長男プレミアム」が存在していると言えるでしょう。

(*1)Fujimoto, J., Meng, X., 2019. Curse or blessing: Investigating the education and income of firstborns and only boys, Journal of the Japanese and International Economies, 53, 1-20.

帽子を投げる卒業生たち
写真=iStock.com/somethingway
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きょうだいの数が多いほど、子どもの学歴は低下する

2つ目はきょうだいの数が多いほど、子どもの教育年数が低下するという点です。性別にかかわらず、きょうだいの数が多いほど、一人ひとりにかけられる教育費用は低下していきます。この結果として、きょうだいの数が多いと子どもの学歴が低下する傾向が確認されました。

この結果の重要なポイントは、平均的に見て子どもの学歴を高めたければ、子どもの数を制限する必要があるという点です。子どもの数を制限し、一人あたりの教育投資量を増やし、子どもの学歴を高めるという戦略をとる必要があることを示唆しています。

また、この結果から、子どもに必要となる教育費が増加した場合、子どもの数を減らさざるを得なくなることも考えられます。現在、日本では都市部を中心に中学受験をする子どもが増えており、教育費の増加につながっています。これは子どもの数の減少に関連があると予想されます。