ちゃんと感謝を伝えよう

本稿を読んでいる人の中に、「最近、お母さんが機嫌が悪いけど、更年期かな?」なんて思っている人がいるだろうか。

これまで「いい妻」「いい母」をやってきたお母さんは、自分が何のためにそれをやっているのか、わからなくなる時期がくる。

毎日、朝食、夕食、お弁当を作る、家をきれいにする、洗濯してアイロンをかける……これを20年やってくると、それが当たり前の風景になる。家族はいちいち感謝なんてしない。

「私はちゃんと感謝してる」と思っているかもしれないけど、あなたが見えていて、感謝しているのは、お母さんがやっている100のうちの、せいぜい20だけだ、と思ってみて。

子育てのためには、母親は手を惜しまない。子育てが終わって、子どもが独立し、閉経すると、一気に、家族に尽くす意味がわからなくなってくる。朝から晩まで、家族のために家事して、仕事もして、さまざまな雑用に追われて「私、何やってんだろ」となる。だから、家族の感謝がないことにイラつくし、悲しい。

その年頃の女性のイラつきの原因は、更年期障害と言われているけれど、私からすると、それだけじゃない。脳が生殖期間を終えて、生殖本能が弱くなって、周りから守ってもらう理由がなくなってしまって、「いい人」やっている意味がわからなくなった挙句のクライシスも、相当数含まれているはず。

自分が年配になってくると、あ、お母さん、あれもしてくれたんだ。これもしてくれたんだとわかってくる。

感謝すべきことがわからなかったら、「お母さん、いつも本当にありがとうね」と、まるっと感謝すればいい。

ベッドに座って抱き合う母と娘
写真=iStock.com/ljubaphoto
※写真はイメージです

感謝されなくて悲しい女性たちへ

人に感謝されないと思ったとき、それはそこにいる人たちの中で、あなたが誰よりも優秀ということなのだ。みんなが20とか30しか見えていないときに、自分は80とか100が見えているということだから。

黒川伊保子『女女問題のトリセツ』(SB新書)
黒川伊保子『女女問題のトリセツ』(SB新書)

私は常々「社会人は、周りからの感謝が足りないと思うようになって、初めて一人前」だと言っている。周りの誰よりも、周りが見えているということだから。

周囲の感謝が足りないことは、プロとして(主婦のプロも含む)、誇りに思っていい。

ちなみに、私は家族に感謝されたくなんかない。

およめちゃんは、私のことを子育てする仲間だと思っているから、「眠くて耐えられな~い」と、私に泣いてる赤ん坊をポンと渡して、寝てしまう。つまり、私が赤ん坊を一緒に育てる仲間だと100%信じているということだ。

「お母さん、すみませんが見てくれませんか」とか「見てくださってありがとうございます」なんて言われたら、寂しくて涙が出ちゃう。それは、子育ての当事者じゃなくて、よその人に言うことばだもの。

【関連記事】
頭のいい人はそう答えない…「頭の悪い人」が会話の最初の5秒によく使う話し方
相性の悪さは努力では解消できない…「結婚相手に選んではいけない人」を見分ける"シンプルな質問"
「どんな人なのかが一発でわかる」銀座のママが初対面で必ず確認する"身体の部位"
「静かにしてください」では不十分…お隣の外国人住民の生活音をピタッと止ませた"ある呼びかけ"
日本人女性は韓国人男性に仕えるべき…旧統一教会が日本人信者に「金と奉仕」を要求する驚くべき言い分