統合の“アメ”を狙う構図はまったく同じ
東海銀行は、戦前、中京地区を地盤としていた愛知銀行、名古屋銀行、伊藤銀行の3行が、1941年に政府の「一県一行主義」に基づき合併して誕生した名古屋を本店とする銀行で、戦後、都市銀行の中位行として中部地区の経済を支えた。
しかし、バブル経済の崩壊を契機とした不良債権の増加もあり、旧三和銀行と統合してUFJ銀行となった。そのUFJ銀行も東京三菱銀行と統合し、現在の三菱UFJ銀行とつながっていく。この間、本店は東京に移され、名古屋を本店とする都市銀行は消滅した格好となった。
銀行の統合の最終章は、かつて13行あった都市銀行が三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3グループにほぼ集約されたことにある。その統合劇はいま地銀で展開されようとしている。
テコとなるのは統合により手にすることができる「公的資金」だ。金融庁は地銀が再編し、競争力を高め、効率化することを条件に金融機能強化法に基づく前向きな公的資金の注入を認めている。まさに統合の“アメ”だ。大学の統合もまた、「国際卓越研究大学」に選出され、大学ファンドの果実の分配にあずかろうとする様は瓜二つだ。
日本の大学は“メガユニバーシティ”に集約されるのか
しかし、現実は地銀の統合は遅々として進んでいない。とくにガッチンコの合併は役員の数が減るなど間接部分の合理化が行われるため数は多くない。「経営の効率化を図るためには完全合併が好ましいが、企業文化も違いも考慮してまず持株会社形式でその傘下に両行がぶら下がるケースが多い」(地銀幹部)という。
業態は違え、大学の再編も同じだ。先の名古屋大と岐阜大の統合の場合も、「東海国立大学機構」という持株法人の傘下に両大学がぶら下がる「アンブレラ」方式が採られているのもこのためであろう。
今後、大学でも総論では統合賛成となっても、具体的な条件交渉となると大学間のエゴが表面化して破談となる可能性も出てこよう。だが、少子化の進行や国際的な競争力の低下を踏まえれば、大学の統合・再編は避けて通れない。いずれ大学もメガバンクグループと同じように、巨大なメガユニバーシティが誕生すると予想される。