1日で元が取れる

続いて紹介するのはシルバーウィークも楽しめる「北海道&東日本パス」。JR北海道と東日本、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行が乗り放題になる切符だ。料金は1万1330円で、7日間連続が利用のルール(7人で1日分を分けるのは不可)。広大な北海道での鉄道旅において尊いパートナーである。

この切符は青春18きっぷと同じく、新幹線・特急列車を利用できない。しかし、オプション券なるものが存在し、6110円を課金すれば1日だけ特急列車の自由席が乗り放題になる。広大な北海道を特急で駆け抜けることができるのは貴重だ。効率的で旅の幅が広がるし、普通列車より快適なシートなので、長時間乗っても体力の消耗を防げる。北海道&東日本パスとオプション券を合わせると、合計で1万7440円となる。

たとえば札幌から最北の地・稚内を日帰りで目指そう。朝一番の特急宗谷で稚内へ行き、宗谷岬など5時間ほど現地を堪能し、再び夕方の特急に乗れば札幌に帰ってこられる。通常料金は乗車券・特急券あわせて往復2万1120円となり、3680円得をする。すでに3000円以上お得なのに、まだまだ6日間のフリー期間が残っている。そのお得さに、感動の涙が出るではないか。

あるいは道東を目指してもいい。朝一番の特急オホーツクで網走を目指し、網走監獄など5時間ほど現地を堪能し、再び夕方の特急に乗れば札幌に帰ってこれる。通常料金は乗車券・特急券あわせて往復2万20円となり、2580円お得となる。

またはこの日は網走に泊まり、翌日に釧網本線で釧路(通常は片道4070円)を目指すのもいい。これもフリーエリアに含まれているから、乗れば乗るほどお得になる。車窓からオホーツク海を望めるし、釧路湿原を突っ切るときは、運がよければタンチョウの姿を愛でられる。また摩周で下車して摩周湖に行けば「ウソでしょ」と思うほど美しい湖面にため息をつけるし、川湯温泉で降りて宿泊してもいい。

北海道のローカル線はいつどこが廃線になってもおかしくない。美しい絶景が見られなくなる前に、今のうちに乗っておくことをおすすめする。北海道&東日本パス、およびオプション券の2022年夏季用は発売が9月24日まで、利用は9月30日までとなっている。

釧網本線から臨む釧路湿原。
写真提供=東香名子
釧網本線から臨む釧路湿原。