「2億2000万円の贈賄」高橋氏の関与は

この東京大会の招致でも「贈賄」容疑があり、高橋氏の名前が取りざたされた。

招致委員会は、13年7月と10月に、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス(BT)に、計2800万シンガポールドル(約2億2000万円、当時のレートで約200万米ドル)を支払ったが、これがディアク元世界陸連会長の買収に使われたと疑われている。

ちなみにBT社を招致委に紹介したのは電通だ。

フランス司法当局は、招致委元理事長だった竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)元会長を捜査している。竹田氏は記者会見で嫌疑を否定し、「私自身はブラック・タイディングス社との契約に関していかなる意思決定プロセスにも関与しておりません」と述べた。

では、誰が東京五輪の招致のための2億2000万円を差配したのか。

2016年リオ大会の招致を巡り、リオ組織委会長だったカルロス・ヌズマン氏は、200万米ドルをディアク氏に渡し、投票を依頼したとされている。

そのヌズマン氏は21年に、贈賄容疑などで、ブラジルの連邦裁判所から禁錮30年11カ月の有罪判決を受けた。

また、買収資金を提供したリオ州元知事も有罪判決を受けている。

東京大会招致委が支払ったコンサルタント料とリオ大会のIOC委員買収額が同額なのは偶然ではあるまい。

高橋氏は20年、ロイター通信のインタビューで、ディアク氏にセイコーの腕時計などの手土産を渡したことを認めている。

金銭授受については言及していないが、高橋氏はディアク氏と付き合いがあり、資金は招致委からコモンズを通じて受け取ったとしている。

コモンズとは前述の高橋氏が代表を務めるコンサルタント会社だ。