独身人口は若者より中高年のほうが多い

未婚化や独身の増加の問題というと、つい若者の問題であると条件反射的に考えてしまいますが、実は、もう若者(30代以下)の未婚と離別死別を含む独身人口と40歳以上の中高年独身人口とを比べると、中高年独身人口のほうが上回っています。

2020年の国勢調査(不詳補完値)によれば、15~39歳の若者独身人口約2230万人に対して、40歳以上の中高年独身人口は約2700万人です。日本はもはや中高年独身国家なのです。

ビジネスマンの朝
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晩婚化とはいえ、40歳以上で結婚する数はそう多くはありません。再婚はともかく初婚となるともっと難しいものになります。40歳以上の独身人口が増えるのは「3組に1組」といわれる離婚の多さと、長寿化に伴う配偶者と死別した高齢で独身に戻った女性の増加によります。ただでさえ少子化で若者人口は減り続けています。つまり、これらを総合的に考えれば、今後も中高年独身が若者独身を下回ることは当分ありえないことになります。

「若者のデート経験なし4割」などが大きな話題となった令和4年度の内閣府白書ですが、若者のデートの心配をするより、この中高年独身激増の部分にも目を向けていくべきでしょう。

「子ども部屋おじさん」という言葉も登場したが…

2020年の国勢調査不詳補完値での生涯未婚率(50歳時未婚率)は、男性28.3%、女性17.8%と1920年以降での過去最高記録となりました。ざっくり3人に1人の男性と6人に1人の女性が生涯未婚です。

そして、この生涯未婚率というのはそもそも50歳の未婚率であり、若者の未婚率ではありません。2020年40~59歳の未婚人口は男性約500万人、女性約360万人で、皆婚時代が終焉しゅうえんした1990年と比較すると男性は約4倍、女性も3.6倍です。

日本のこの中高年未婚の増加をかつてのパラサイトシングル(社会人になってからも親元で生活し、経済的にも精神的にもいつまでも自立せず、家事など生活全般を両親に依存している未婚者)の中高年化、つまり、パラサイト・ミドル化であると指摘する人もいます。さらにそうした状況を「子ども部屋おじさん」という言葉で揶揄する人もいます。