各店舗の質問・提案内容および担当部署からの回答は、店舗のパソコン上で全従業員が閲覧できる。つまり“生きたマニュアル”を通じて徹底した業務の標準化・見える化を推進している。スタート当初は膨大な量の質問がきたが、現在でも1週間に200通が届くという。
守島基博教授は「店舗が数多く分散している小売業などでは、マネジメントの目が全員に行き届かない、また、店長のクオリティが異なるという問題がある。良品計画は、システムを入れることで、働く人たちに自律的に考えるきっかけを与えている好例」と指摘する。
スタッフの質問に対する回答や改善提案は基準書に蓄積され、共有することでスタッフの知識も増え、習熟度も向上する。スタッフのストレスをなくし、余計なことに悩まされずに販売に集中できるという効果を生んでいる。
また、優秀な提案に対しては半期に1度開催する「良品集会」(店長以上部課長出席の会議)の場で表彰される。提案が採用されると、1回につき数百万円の賞金、優秀店舗には半期ごとに社長賞を授与するなど、現場重視の施策を展開している。
※すべて雑誌掲載当時
(増田安寿、宇佐見利明=撮影)