「東南アジアをばかにする日本人」に厳しい目

いま、東南アジア各国で、日本人によるセクハラ被害が多数報告されている。

SNS上には、被害に遭った現地女性の怒りの声が噴出、日本人の印象が悪化する事態に発展している。

なぜ、東南アジアで、日本人による性被害が多発しているのだろうか。

その背景には、男尊女卑やアジア人軽視といった、日本に古くから根付いた価値観があると考えられる。

タイで30年以上暮らしている、ある日本人男性(60代)は、「過去の経済的な栄光を忘れられない日本人の中には、いまだに東南アジアをばかにしている人もいる」と指摘する。

タイではここ数年、SNSを中心に、このような日本人による女性への性被害が度々話題になっている。

2020年には、在タイ日本人らが、タイ人女性をナンパし、ホテルに連れ込めるかどうかを競い合うという動画がTwitter上で炎上。動画の内容が日本語からタイ語に訳されたことで、タイ人からも多くの批判が相次いだ。

「Z世代」の登場で告発が増加

歓楽街が発展しているタイは、昔から「女性を安く買える国」というイメージがつきまとい、外国人と現地女性のトラブルが後を絶たなかった。

だがかつては、そうしたトラブルが表沙汰となることは少なかった。

なぜ、近年、こうした性被害の告発が大炎上するようになったのだろうか。

理由の一つは、タイを取り巻く環境の変化にある。

経済成長が続くタイでは、中間所得層が拡大し、人々の暮らしや考え方も近代化してきている。

特に1990年半ばから2010年代初頭に生まれた、いわゆる「Z世代」は、その多くが大学まで進学しており、人権問題をはじめ、社会問題に対する関心が高い。そこにスマートフォンやSNSの普及が相まって、問題や被害の告発が拡散しやすくなり、前述の炎上につながったと考えられる。