1万円の洋服を購入後、30%引きで転売し…

さらに、健全とされる「後払いアプリ現金化」の中にも合法すれすれのグレーゾーンな取引を行う業者が含まれている点は見逃せない。合法か違法かは、実際の商品取引の有無で分かれると紹介サイトで説明されているが、違法な後払い(ツケ払い)現金化でも商品取引がある場合もある。

また、合法とみられている後払いアプリ現金化でも、買い取り価格と購入代金の差が大きい場合、実質的に利用者は高利な消費者金融を利用しているのと同じケースも少なくない。例えば「後払いで買った商品を7割といった高い割引率で買い取って現金化するビジネスも横行し始めている」(メガバンク幹部)というのだ。イメージとしては次のような取引だ。

ECサイトで1万円の洋服を購入したと同時に、後払い決済業者を通じて買い取り業者に転売して現金が振り込まれる。利用者は商品を買うだけで当座の現金を手にでき、遊興費などに充てられるという仕組みだ。問題はその買い取りに際しての換金率が即日現金化業者の場合、大半が70~85%という水準に設定されていることだ。利用者は購入商品の価格が少額であることから、割引率が15~30%と高くても負担感は乏しく、むしろ当座の現金が得られることを優先しがちといえる。

箱に入った洋服
写真=iStock.com/SEE D JAN
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「1万3000円のうち利ザヤが3000円」の超高利

さらに、「ECサイトで1万円の商品を悪質事業者を通じて買えば1万3000円で買わなければならないが、商品を買うと同時に転売した形で利用者には1万円が振り込まれる。利用者は、商品を買うことで1万円の当座の現金を手にし、遊興費などに充てられる。ただし、1カ月後に、1万3000円を支払わなければならない。後払い事業者は利用者に代わって1万円を立て替え払いしているという仕組みも考えられる」(メガバンク幹部)という。

つまり消費者金融では利息制限法などにより上限金利があり、高利は付けられないが、商品を介する後払い決済サービスという新しい仕組みでは、その網を潜り抜けられる。割賦販売法も超短期では規制はない。超短期での返済なので表面的には高利という感じはないが、年利に引き直すと超高利になるのだ。

後払い決済サービス事業者はEC事業者(加盟店)の売り上げを立て替え、請求書の発行や代金回収を行うことで、加盟店から2~5%程度の手数料を得ている。だがこのところ、収益を伸ばすため、クレジットカード会社の加盟店審査で落とされた信用力に問題のあるEC事業者を加盟させるケースも散見されるという。