沖縄の人間を典型的な“型”に嵌めた不快さ

2018年に引退した歌手の安室奈美恵は沖縄が生んだ稀代の歌姫である。沖縄出身のスターやアスリートはたくさんいるが、もっとも輝かしい功績を残したのは彼女だろう。日本でありながら、日本でない沖縄の国内での立ち位置というのは、戦前、戦中、そして現在でも非常にセンシティブだ。そんな沖縄の地位の向上に寄与した安室の評価は、沖縄ではとてつもなく高い。

母子家庭出身で、自身も離婚してひとり親となったA子さんはドラマ愛があるゆえの苦言を呈する。

「安室さんも母子家庭で育ち、とても貧しい生活を送っていたのに、あそこまで成功できて本当に尊敬しています。現在の沖縄でも実際に貧困とか、シングルマザーの家庭が多いとか、男が働かないとか解決されていない問題が山のようにありますが、今回の朝ドラではそこを面白おかしく切り取っているような印象で……。沖縄の人間を型にハメたらハメっぱなし。その先の展開がないのが残念だし、今のところ希望が見えないんです」

まるで「朝ドラ史上最低のつまらなさ」と言わんばかりだが、いったい何が原因なのか。筆者が沖縄県民とともに選考した“戦犯”キャラを紹介しよう。

働かない男“にいにい”の荒唐無稽ぶりは、病気レベル

ウチナンチュの男の典型(と思われる)なのが、主人公・暢子の兄(長男)の賢秀(竜星涼)、通称“にいにい”なのだが、これがありえないほどのごくつぶし。妹3人が母を手伝っているのに、何もせずに日がな一日ゴロゴロしているだけ。何もしないだけならまだしも、とんでもないことをしでかす男だ。

例えば、本土復帰前にドル紙幣を円に交換する際「高いレートで儲けさせてやる」という詐欺にまんまとだまされ、家中のお金を渡してしまったり、同じ詐欺師から紅茶豆腐(70年代にはやった紅茶キノコのパロディー)を大量に押し付けられたり、きれいなセールスパーソンから下心ありありで商品を買うが、彼女には婚約者がいて美人局に遭っている状態になったり……にいにいのおバカエピソードは枚挙にいとまがない。

こうしたおバカキャラはしばしば朝ドラに登場し、それに視聴者も引き寄せられるのだが、今回は“沖縄あるある”を並べられて県民が小バカされているように感じてしまったのかもしれない。

2012年8月12日、真昼の炎天下、那覇市の通りをゆく和太鼓奏者
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