台風を例に挙げれば、温暖化の影響で海面水温が上昇したことにより、日本近海で発生する台風が増えており、発生した2~3日後に上陸することも珍しくありません。非常に近いところで発生するということは、それだけ気圧の変化も急激になるため、必然的に体へのダメージも大きくなります。

また、ゲリラ豪雨や猛暑日の発生件数も年々増加傾向にあり、天気の影響を受ける機会は増え続けているといえるのです。

天気の変化に悩まされているのは日本人だけではありません。世界各国で、その症状をうったえている人たちがいます。つまり、国や地域ごとの気象条件にかかわらず、天気の変化は人間の体になんらかの影響を与えうるということです。

日本人が「ハワイ好き」になる理由

一方で、気象病の症状が発症しにくい、気候に恵まれた土地もあります。

個々に体の相性のようなものもあるので、「あの場所に行くと、なぜか症状が軽くなる」ということもあるでしょう。世界中のどこに行っても必ず気象病に悩まされるというわけではなく、どこかに“逃げ場”は存在するものなのです。

私の患者さんに多いのは、「ハワイに行くと頭痛が治まる」というパターン。1人や2人ではなく、何人もの方が同じことを口にしています。

ハワイのビーチで楽しむ女性
写真=iStock.com/Maridav
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これはいうまでもなく、ハワイの気候が関係しているのでしょう。

ハワイは年間を通しても気候の変化が少なく、あまり雨の降らない地域もあります。世界的なリゾート地として名高いホノルル周辺は、年間気温がほぼ20~30度の間で、雨季の晴天率が高いのが特徴。日本に比べ、気圧の変動が激しくないことが考えられます。そんな気候が、症状の軽減をもたらしてくれているのでしょう。

加えて、気分が開放的になることによって、自律神経に良い影響を与えている可能性も想像できます。気候が快適で過ごしやすく、ウキウキした気分でいられれば、痛みも不調もふっ飛んでしまうというわけです。

近場で「転地療養」という選択肢もある

「そうはいっても、ハワイに行くのは大変だなぁ」。そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、気象病が発症しにくい土地は海外だけとは限りません。日本国内にも、みなさんの体質に合い、つらい悩みを解消してくれる場所はあると思います。

たとえば、古くから避暑地や保養地として多くの人に親しまれてきた土地には、人々が快適に過ごせる理由があるわけで、そのひとつには気候が挙げられると思います。ハワイはハードルが高くても、国内なら行ける可能性は高まります。まずは近場の有名な場所に行って、ご自身の体調に変化があるかどうか、確認してみてはいかがでしょうか。