大企業に勤務する45歳の男性には3歳下の弟がいる。無職の弟は実家住まいで年金暮らしの70代両親に長らく経済的に依存している。男性は「親亡き後は、自分が弟の生活を支えていかなければならないのか。また自分の死後は子供たちが弟の面倒をみないといけないのか」という不安を抱いている――。
部屋の中で立ってこちらを見下ろす男性
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「親亡き後は、自分が弟を支えていかなければ……」

最近は、親よりも兄弟姉妹からの相談が増えています。親亡き後に、働けない兄弟姉妹の生活を支えていかなければならないのか、自分の子供たちにまで負担が及ぶのか、という点が心配なようです。もともと兄弟仲が悪いことも少なくなく、解決への道のみも一筋縄ではいきません。今回も、実家の弟さんの将来が心配だ、というより自分や家族に影響が及ぶのが心配だという相談依頼でした。

相談者の家族構成
・相談者:長男 45歳(会社員)親・次男とは別世帯
・父親:73歳(年金生活) 年金額210万円
・母親:71歳(年金生活) 年金額110万円
・次男:42歳(無職・ひきこもり本人)親と同居
資産
・預貯金:約3000万円
・自宅:戸建て持ち家

ファイナンシャル・プランナーとして、ひきこもり家族の将来の家計状況をシミュレーションして、改善策をアドバイスしています。多くは親からの相談なのですが、最近は兄弟姉妹からの相談依頼も増えています。ただ、兄弟姉妹からの依頼はお断りすることもあります。

相談では、将来の家計状況のシミュレーションを作成して、それに基づいて改善策の提案やアドバイスをしています。家計シミュレーションは、親とひきこもりの子供の家計を一体のものとして、親亡き後も生活していけるかを分析します。そのため、現在の貯蓄状況や家計収支をヒアリングして、それを基に将来の状況を推測します。

ひきこもりの子はたいてい親と同居していますので、親からの相談であれば、日常の家計収支や貯蓄の状況を聞き取ることができます。ところが、兄弟姉妹からの相談の場合は、それがまったくわからない場合があります。それでは将来の状況を推測することもできませんので、両親を巻き込んで一緒に相談に来ていただくようにお願いします。それが難しい場合は、やむなく相談自体をお断りします。