「高値買い、安値売り」してしまうのが人間心理

仮に成績の良いアクティブファンドを見極めることができたとしても、その売買をする際に、「高値買い、安値売り」をしてしまうのが人間心理というものです。『ウォール街のランダムウォーカー』(バートン・マルキール著)では、いかに個人投資家が高値で購入し、安値で手放しているかを指摘しています。

多くの投資家は、相場のピークもしくはそれに近いところで大量に投資信託を購入し、大底が近づいてくると資金を引き上げています。そのせいで、ただインデックスファンドを持っているだけの投資家よりも、低いリターンしか手にできていません。「タイミング・ペナルティ」を課されているのです。

金融技術の概念
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

良い成績につられた「余計な動き」がリターンを潰す

余計な資金移動をすることによる2つ目のミスは、「移動先のミス」です。スーパーやコンビニのレジに並んでいて、となりの列のほうが早そうだと思って移動したことはありませんか? 列を移動した途端に、移動先の列はなかなか進まず、移動前にいた場所にとどまっていたほうが結局早かった……なんて経験もあるのではないでしょうか。

実はこの現象は「エトーレの法則」という名前がついています。そして、これは投資にも当てはまるのです。

『敗者のゲーム』では機関投資家向け運用をおこなっているマネージャー数社の35年間の調査結果について調べています。これによれば、直近の成績が良好なマネージャーには新規顧客が集まり、直近の成績が悪いマネージャーは解約が相次いでいます。つまり多くの人は「最近成績が良いマネージャー」のほうへ資金移動をしていることになります。

しかし皮肉なことに、新規に採用されたマネージャーのその後3年間の成績を見ると、解約されたマネージャーを下回る結果になっていました。投資家側から見れば、せっかく成績の良さそうなマネージャーに変更したのに、変更して以降の成績は元のマネージャーのほうが良かったのです。スーパーのレジの現象とまったく同じです。

何もしなければ、雨の日の次には晴れの日があるように、悪い成績の次に良い成績が来ていたはずなのですが、「余計な動き」をしたことにより、そのリターンを潰してしまいました。ここでも結局「買ったら持ちっぱなし」にしておいたほうが良いという学びを得ることになりました。