日本電産・永守会長が怒りのCEO復帰

2022年6月17日に開かれた日本電産の株主総会が話題になった。創業者の永守重信会長が、同席した関潤社長について「社長はまだ見習い。いま一生懸命教えている」と語ったというのだ。

日本電産の永守重信氏(右)と関潤氏(写真は2020年)。
日本電産の永守重信氏(右)と関潤氏(写真は2020年)。(東洋経済/アフロ=写真)

関氏は日産自動車から2020年に日本電産に移り、21年6月に永守氏の跡を継いでCEO(最高経営責任者)に就任した。しかし22年4月、同社の株価が下落したことに永守氏が「耐えられない水準だ」と苛立いらだち、CEOに復帰した。株主総会では、関社長が逃げださない限りは後継者として育てると話し、関氏のほうも「逃げる気はまったくない」と話したというのだから、聞いていられない。

ただ、永守氏のような名経営者が「世継ぎ」(事業継承)に苦労するのは珍しいことではない。優秀な経営者ほど、自分と比較して物足りなさを感じ、新社長を解任して自分が復帰しがちだ。

会長に退きながらも実権を握り、すぐ表舞台に戻れる状態は「回転ドア」のようだ。オリックスの宮内義彦氏、ファーストリテイリングの柳井正氏、スズキの鈴木修氏、キヤノンの御手洗冨士夫氏、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄氏など、多くの経営者が「回転ドア」を用いてきた。