20年後のモビリティはどうなっているのか

2022年、ホンダとソニーが未来の自動車を作るために手を組みました。2040年までには今とは違う未来的な自動車社会が出現し、自分で運転しなくてもいいロボカーやロボタクシーが無数に走る未来がやってくると想定してみましょう。

その未来では外出の概念が今とはがらりと変わるようになります。

あの耳障りがいいホンダのエンジン音は2040年の未来には過去のものになっています。なにしろガソリン車はこの時代、禁止されているのです。むしろ未来のEV車の車内はソニーのノイズキャンセリング技術によって静謐せいひつな空間になっているでしょう。

ロボカーの場合、手にするのはハンドルではなく自動車内部に無数に設置された有機ELパネル。スマホならぬスマカーで、パネルはエンタメコンテンツを観るだけのものではなくスケジュールやメールを確認したり、SNSを超えて誰かとつながるためのコネクテッドデバイスにもなっているはずです。

「モビリティ経済」に進んだ日本人の1日のシナリオ

2040年のある日の私のスケジュールを想像してみましょう。

19時に西麻布の交差点に到着。車を降りる前に「今晩会えるかもしれない他の人のリスト」を車の中でチェックします。GPS情報やスケジュール、SNS上の距離などを人工知能が考えた上で「ひょっとしてこの人にも今晩会いたくないですか?」というリストが予測順に並びます。そのうち何人か、会ってもいいなと思う人にチェックをした上で、映画『キル・ビル』で有名になった居酒屋・権八に出かけます。

串焼きを食べながら友人と談笑しているとスマホに新しいスケジュールが着信します。AI秘書機能による自動スケジュール調整で、この後、21時に骨董こっとう通りのバーでとある企業の経営者と合流して非公式にコンサルティング、それが終わった23時には六本木のものまねエンターテイメントハウスに移動して高校時代の同級生と再会。こうした夜の冒険をしこたま楽しんだら帰宅して明日に備えます。

その間の移動はすべてスマートカーに乗りパネルを触って音楽をかけ、検索したり情報発信したりコーヒーを飲んだり買い物したりとそこそこ忙しい。とはいえ2020年と比べれば移動が楽な上に、夜のスケジュールも昼間の仕事と同じくらい高い密度でこなすことができ、しかも予定外の人に会うチャンスが日々増える未来がやってきます。