「学級崩壊」が起きない大人の存在が大前提
折橋がエントリー制度に応募したのは、入社10年目。本社の販売部で、販売戦略の立案を担当していた。応募の動機をこう語る。
「石油業界は、100年以上の歴史を経て、確固たる商体系ができ上がっています。石油製品の販売が落ち込むなかで、それにあわせて自分の能力や可能性も限られてしまう。そんな危機感がありました。会社としては、これから石油とはまったく違う市場をつくり上げていく必要があります。自分もそのなかで能力を磨き、突き詰めていきたいと思ったんです。新聞やテレビの報道ではなく、実際の現場を肌で感じてみたかった」
現在、FC・ソーラー事業部は、エネファームと太陽光発電を扱っている。新日石にとってはまったく新しいマーケット。関係各省庁との関係づくりや長期・短期の事業計画の策定が、折橋の仕事だ。
付き合う相手も「まったく変わってしまった」。販売部では、「(ガソリンなどの)アブラ」の特約店がお客さんだった。今は、関係省庁の官僚のほか、住宅社会やガス会社の人たちが、ビジネスの相方だ。
折橋によれば、職場は挑戦者の雰囲気に満ちている。
「もう全員前向き。事業の方向性について、それぞれが自分なりの考えをもっていて、例えば飲みにいっているときでも、そういった議論になったり、熱くなって喧嘩口調の激論になったりする。非常に活気のある部署だなと、すごく感じています」
折橋の目標も大きい。
「新エネルギー事業というのは、立ち上がったばかりで、まだ誰も確固たるビジネスモデルをつくれていません。CO2削減に注目が集まるなかで、どのような社会をつくったらいいのか、これが正解と言い切れる人も、まだ誰もいない。技術的な知識も蓄えて、自分なりに物申せるようになっていきたい」