ウクライナ侵攻後も続けているシリアへの無差別空爆

▽シリア空爆

2011年3月に始まったシリア紛争で、プーチン政権は反独裁を叫ぶシリア国民を殺戮するアサド政権に圧力をかける国連安保理決議をことごとく拒否権で潰し、アサド政権への軍事支援を続けた。

また、2015年9月からは直接ロシア軍を派遣し、反体制派エリアへの無差別空爆を開始した。ロシア軍は病院、学校、市場、民家を破壊し、民間人多数を殺害し続けた。「ダブルタップ攻撃」といって、同一の地点を時間差で攻撃することにより、1発目の攻撃での被害者を救助するために集まった人々をさらに殺害するということまでやっている。

シリアでのそうした攻撃はウクライナ侵攻後も変わらず続けているが、ロシアは一貫して「テロリストのみ攻撃している」と主張している。ウクライナでやっていることと同じだ。

ラッカ市の破壊
写真=iStock.com/aboud hamam
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間接的な殺人幇助で20万人以上の民間人が犠牲に

ロシア軍がシリアで殺戮した民間人の人数は、NGO「シリア人権監視団」(SOHR)によれば少なくとも8700人(2021年6月時点)、NGO「暴力記録センター」(VDC)によれば6900人(2022年2月時点)とのことである。

ちなみにVDCは戦闘員を含めたロシア軍による殺害総数を7360人と統計している。「テロリストのみ攻撃している」と言いながら、実際には民間人ばかり殺害していることになる。

それだけではない。プーチンはこうした直接的な殺人だけでなく、間接的な殺人幇助も行っている。前述したようにロシアが国連安保理決議を葬ったことにより、アサド政権は延命し、多くの民間人を虐殺した。その人数は前出SOHRによれば判明しているだけで13万人以上、不明者はさらに数万人規模という。もう一つの有力なNGO「シリア人権ネットワーク」(SNHR)の統計では、20万人以上に及ぶ。

この膨大な数の民間人犠牲者も、プーチンが殺したといって過言ではない(さらに反体制派兵士も8万人以上を殺害している)。