“あおり運転”をした義母はA子さんの乗る車の窓を強打

あおり運転は近年、大きな社会問題として注目されている。

あおり運転とは、周囲の車を威嚇・挑発する危険な運転のことだ。前方の車との車間距離を不必要に詰めたり、逆に前を走りながら急停車するなどの行為が該当するとされる。

東名高速道路であおり運転を受けた結果、男女2名が死亡する事故が契機となり2020年6月10日に道路交通法が改正された。妨害運転(あおり運転)の厳罰化がなされ、最大で懲役5年の実刑。一発で免許も取り消しになるようになった。

今回のあおり運転の現場は、某県内にある川沿いの交差点だ。片側一車線の追い越し禁止のエリアである。4月1日午後7時30分過ぎ、A子さんと彼女の弁護士が乗車する乗用車は強引な割り込み運転を受け、車両を運転していた義母に窓を強打されるという恐怖を味わった。A子さんと同乗していた弁護士は語る。

「この日は相手方(夫側)が提出してきた書類の真偽を調べるために、関係者宅を回っていたんです。そのうちのどなたかが相手方に連絡したのでしょう。動画の5分ほど前に赤信号で止まった時、後方で停車した車から相手方の母子が出てきて窓を叩いてきたので尾行されていたと気付きました。その時は安全確認の上、青信号に変わったタイミングで逃げたのですが、まさかあんな強引な運転をするとは…」

トラブルの大本は…離婚訴訟

あおり運転にまで発展してしまった離婚騒動。被害にあったA子さんによれば、事の発端は4年前にさかのぼる。2月のまだ寒い日の夜、A子さんは子どもを連れて同居していた夫の実家を出て行く決意をしたのだという。

「きっかけは夫の暴力です。直接殴られたりしたわけではありませんが、夫はある日突然、木のドアを『ドンドン』と強く叩いて『死にたい』と言い出したのです。ドアには穴が空きましたし、明らかに異常な様子なのに同居していた義理の父母は見て見ぬふり。『このままで何が起こるか分からない』と強い恐怖を感じて、その日のうちに荷物をまとめて翌朝家を出ました」

その後、A子さんと子ども二人はA子さんの実家で生活をすることになった。ただ、A子さんが仕事で家を空けなければならない時には、夫側の家に預けるなどして定期的に子どもは両親と接する機会を持っていた。ところがある日、夫に預けた子どもたちが帰ってこなくなったという。

「帰ってくるはずの日になっても子どもが帰ってこない。夫に電話すると『子どもたちが帰りたくないと言っている』と一方的に伝えられて、その後は電話がつながらなくなりました。それからしばらくの間、子どもの行方は分かりませんでした」