教員が教育に専念できる

廣津留すみれさんのファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」
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「課題は小論文が中心です。1年目にまずライティングの授業があり、そこで小論文の書き方や引用のルール、脚注の付け方など、細かい部分まで教えてくれます。ただ、課題がとにかく大変で(笑)。毎回、テーマとなる本や新聞記事を読んでからクラスでディスカッションをして、それを課題に10ページほどの小論文(エッセイ)にまとめるのですが、月曜日に出された宿題はその週の金曜日に提出しなければならず、中3日しか時間がないことも。それも一度提出して終わりではなく、最初の週でドラフトを書き、先生にフィードバックをもらい、また翌週にはドラフトを書く。それを何ターンか繰り返し、ようやく1つの課題が完成します。それをいくつも同時並行でやるため常に追われていましたが、その都度丁寧に向きあってくれる先生方は素晴らしいと思いました」

超一流の多忙な教授陣が学生に対して親身に接してくれるという、環境のソフト面も整っているハーバード。背景には、役割分担によって教員が教育に専念できる体制がある。

「ハーバードは、事務作業のことは事務担当、入試のことはアドミッションオフィスと、役割分担が明確です。その仕組みのおかげで、先生は自分の研究と学生に向き合える体制になっていると思います。どんなに有名な先生でも、オフィスアワーがしっかり決まっていて、その時間に訪ねていけば丁寧に質問に答えてくれます。学生自身の努力はもちろん必要ですが、学生が落ちこぼれないようにフォローアップできるかどうかが、先生の実力のひとつとして考えられているのも特徴なのかもしれません。学期末には学生から先生への辛口なフィードバックも公式に返され、先生自身の進退に影響しますから(笑)。一人ひとりの学生に目を配り、困っていたり、授業を理解できていなかったりという学生がいれば、しっかりフォローしてくれる。学生のことを気にかけてくれているのが伝わってきましたね」

(構成/奧田高大)

<廣津留さんがアドバイス! 今日の「5分」でやってみる>
◆自分なりの視点を意識して発言しよう
ハーバードの授業はディスカッションが中心。発言するときは、“意地でも”ほかの人とは別視点の考えを述べたり、同意しながらも自分なりの意見を加えたりするのがハーバード流です。これを意識することで、考える力をつける練習になり、短い時間で自己アピールするときにも役立ちますよ。
当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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