授業に出るだけでは出席にならない

寮のロビーとジム、図書館。寮は廣津留さんの在学中にリニューアルし、ホテルのような雰囲気だった。
写真提供=廣津留さん
寮のロビーとジム、図書館。寮は廣津留さんの在学中にリニューアルし、ホテルのような雰囲気だった。

「私が在籍していた頃は“ハーバード・タイム”といわれる独自の習慣がありました。9時の授業が9時7分に始まるなど、すべてが7分遅れなんです。当時のハーバードには、例えば10時30分までの授業の次は10時40分から、といった時限の間に時間をとる考え方がなく、10~11時の授業の次は11~12時の授業、という感じでした。移動時間に7分かかるのでこの習慣が始まったといわれています。これが癖になって、実社会に出ても7分遅れの人が多くて今は廃止になった……なんていう話を卒業後に聞きました。ただ、私自身は夜型で朝が苦手なので、7分の遅れ程度では9時から始まる授業に全然間に合わなくて、寮生活ですぐ近くに校舎があるのに当時からオンラインで授業に参加していましたね(笑)」

学生と教職員、双方の意欲を受け止める環境

充実した環境はハード面だけではない。授業では、学生一人ひとりに合わせた、きめ細かな指導が用意されている。

「授業は大人数の講義と15人ほどの少人数制“セクション”で成り立ちますが、ハーバードでは授業に出るだけでは『出席』になりません。たとえばディスカッション中心の授業では、発言してはじめて『出席』が認められますし、どれだけ説得力のある発言ができるか、あるいはいい質問ができるかが成績の評価につながります。ディスカッションやディベート形式の授業ではクラスメートと意見がぶつかることもありますが、それはあくまで授業内の話。激しい討論が終わったら、仲良くお茶を飲んだりランチにも行きます。

そうした授業のスタイルと、会話のスピードやアクセントなどの語学の壁もあって、正直、最初はすごく戸惑いましたね。でも、英語がネイティブではない学生には、先生がゆっくり質問してくれたり、『こういうタイミングで発言するんだよ』と教えてくれたり、しっかりフォローしてくださいます。私自身、1年目は進度についていけなくて、授業内容が把握できなかった科目がありましたが、教授に相談すると毎週オフィスアワー(教授が研究室などで学生の相談や質問に応じる時間)に補習をしてくれました」