なぜストレスはたまるのか。英ケンブリッジ大学のメンタルヘルス研究者である著者は「完璧を追い求める人は、決断するまでの選択肢が多すぎて疲れきってしまう。何事も『ほどほどでよい』と思うことでストレスの少ない生活を送ることができる」という――。
※本稿は、オリヴィア・リームス『STRESS FREE』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
「決められない」は人間にとってストレスの種
アムステルダム大学の研究により、決めるべき内容が複雑であるほど、最初の直感に従ったほうがいいことがわかっています。
「どのタオルを買うか」などの、比較的やさしい選択であれば、メリットとデメリットを秤にかければ決められます。一方、「どの家具や車を買うか」のような複雑な判断では、意外にも、無意識の脳に従うほうが良い選択ができるといいます。
直感を信じることで、より良い決断を下せるのです(*1、2)。
決められないと、人間はイライラします。そのうえ、日ごろから迷いがちなら、それは大きな足かせとなって、肝心なときにあなたに二の足を踏ませるおそれがあります。
決めるまでに長いあいだ迷う人もいます。最良の製品を見つけようとして、メールの文面を完璧にしようとして、何を注文するか決めようとして、何時間も費やす。そうしてようやく決めても、自分の選択にやっぱり満足できず、「あっちにしておけばよかったかな……」などと考え続ける。
人間には「追及する人」と「満足する人」がいる
どう決断するかは、その人の生き方に大きな影響を及ぼします。ものごとをやり遂げるか、傍観したままでいるか。与えられたチャンスをつかみに行くか、それとも尻込みするか。そうしたことを決定づけてしまうのです。
心理学者のバリー・シュワルツは、人間は意思決定の仕方によって複数のタイプに分けられることを発見しました。そうしたタイプのうち、ある人々は「追求する人」、別の人々は「満足する人」と呼ばれています(*3)。
前者の「追求する人」には、あなたもどこかで会ったことがあると思います。ひょっとしたら、あなた自身がそうかもしれません。