備品が壊れても修理費は部費から出さない

【辻】最初に話した部費2000円というのは年間に絶対にかかるお金なんです。登録費とか参加費とか消耗品費とか、それが大体1カ月に1人2000円かかるんです。逆にネットの補修とかバッティングマシンの修理代とか、そういうものは部費からは一切出さないんです。

机の上に日本の100円硬貨と50円硬貨
写真=iStock.com/Toru Kimura
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【藤田】それはなぜですか?

【辻】例えばバッティングマシンの耐用年数が10年だとして、たまたま自分の子どもが在籍している時に壊れて20万円かかったとします。それを部費から出すっておかしいじゃないですか?

【藤田】あー、確かに。それが例えば7期生の時に壊れたとしたら6期生まではラッキーだったってことですもんね。

【辻】そうなんです。だから集めた部費の2000円は年間に必要なもの、消費するものだけに使うことにしているんです。

【藤田】なるほどねぇ。バッティングマシンとかネットの修理とかは部費とは別にそうめんやアルミ缶で稼いだお金を使うということですね?

【辻】そういうことです。細かく言いますと、ボールは年間に何ダース使うと決まっているのでこれは部費から出します。ただ全国大会に出る時に必要になる新しいボール代はそうめんなどを売って稼いだ収益から出しています。全国大会は出る年もあるし出ない年もありますから、そこを毎月の部費から出すのはおかしいと思うので。キャッチャーミットやマスクなども収益から払います。

【藤田】お金の種類が違うんですね、部費と収益と。それを使い分けている。面白いなぁ。保護者からしたら「マシンが壊れたの? チームのお金で修理するんですか。ふーん」って何とも思わない気もしますけど、よくよく考えてみると「なんでうちの子の代で負担するの!」って思われてもおかしくないですもんね。確かにそうだわ!

【辻】そこは保護者が絶対に納得できる形にしておかないとダメですね。

【藤田】すごいですね。そのあたりのお金の管理というか、チームマネジメントの抜け目のなさが。

「球審1回150円」の“審判手当”を保護者に支払う理由

【辻】あとは「保護者会費」とはなんぞや? というところで言いますと、これは保護者が動いたら発生するお金なんです。

【藤田】はいはい。なんかもう面白そうですね(笑)。

【辻】月に1000円ですから、1人あたり年間1万2000円払うことになるんですが、そのお金をどう使うかと言うと、例えば保護者会長とか会計係とか役職がある人は電話を使うことも多いだろうし労力もかかるだろうということで、そういった役割が多い人には保護者会費で貯めたお金から報酬を支払うということなんです。逆に保護者には年間5回くらい「見守り当番」という役目がまわってくるんですが、その回数はみんな平等なんです。そういうみんなが平等にやることには報酬は発生しないんです。

【藤田】役職手当みたいなものですね。めちゃくちゃよくできていますね、それ。

【辻】あと試合で球審をやると150円もらえるんです。塁審は100円です。

【藤田】安いなぁ(笑)。

【辻】そうやって一旦集めたお金を、動いていただいた分だけ保護者に返していくんです。そうすることで、やむを得ず行けなかった保護者の後ろめたさが減るというか、行けない人の心の均衡を図っているんです。

【藤田】確かに! 動いた人にはお金が返ってきて、動かなかった人はお金が返ってこない。そうすることで「あそこはいつも来ないよね」とか、そういうのもなくなりますよね。

【辻】例えば事情があって審判に行けないご家庭もあるじゃないですか? そういう場合、「うちは審判に行けないからチームに入るのを止めておこうかな」という考えにもつながると思うんです。でもその時に「いやいや、あれはやっている人に保護者会費から手当が出ていますから大丈夫です。全然気にしなくていいですよ」って言えるんです。

【藤田】いやぁ、完璧だなぁ。すごいっすねぇ。