日本の「買い負け」の状況はより深刻に
それとは逆に、改革が遅れれば、わが国が世界のパラダイムシフトに対応することは追加的に難しくなる。すでに、水産品の市場ではわが国の企業が中国勢に買い負けるケースが増えていると聞く。今後、ロシアからのエネルギー資源などの供給が減少し、さらには物流混乱に拍車が掛かれば、世界全体で供給制約はさらに深刻化するだろう。その場合、わが国が経済活動の維持に欠かせない原油や天然ガスを思うように調達できず、電力供給が不安定化する恐れもある。
そうなると、わが国経済の実力は低下し、物価が上昇する中で国内の給与水準も落ち込むというかなり厳しい状況を迎えるだろう。ウクライナ危機は、コロナ禍が炙り出したわが国の問題を、一段と深刻化させている。岸田政権が構造改革を加速させ、産業界の実力向上を実現することができるか否かが中長期的なわが国の展開に無視できない影響を与える。