マイホームは「買えるかどうか」で選んではいけない

結果、Aさんはこの物件を衝動買いしてしまったのです。Aさんの最大の失敗は、買えるかどうかで判断してしまったことです。まったく比較もせずに、「住宅ローンが借りられたから」との理由で買ってしまったのです。

住宅ローンが借りられたとしても、20年、30年と無理なく支払いを続けられるかは別問題です。住宅ローンを「借りられる」と「返せる」とはまったく違うのです。Aさんのように数千万円もするマイホームの購入にもかかわらず、偶然の出会いに運命を感じて衝動買いをしてしまう人がいます。

このような人には貧乏神が住みついている可能性があります。貧乏神は「比較検討しない人」が好きです。何年もかけて数十軒を見て回って比較検討した人でさえ失敗することがあるのですから、何も検討せず衝動買いしているようでは「失敗して当たり前」と考えた方がいいでしょう。

家族が盛り上がって後戻りできなくなる

2つ目は周囲に追い込まれて後戻りができなくなってしまったケースです。これもよくあるパターンです。

Bさんは、妻が気に入った物件に不安を持っていました。冷静に判断すると物件価格は周辺相場より高く、住宅ローンの返済が不安だったのです。しかし、盛り上がっているのでは妻だけでなく、妻の両親も一緒になって物件を見学に行くほどです。

しかも「娘がマイホームを購入するなら」と資金援助の話まで飛び出しています。「この物件は高いからやめとこう」と言える雰囲気ではないのです。

家計診断をしてみると、子どもの教育費負担が始まる頃には家計が破綻する可能性が高そうでした。両親が支えてくれればいいのですが、資金援助は購入時の1回だけのようです。あとは給料が上がることを願うだけです。Bさんがその後どうしたかはわかりませんが、仮に購入をしていれば、相当に厳しい家計状況に追い込まれたでしょう。

住宅ローンの計算をする人の手元
写真=iStock.com/Chainarong Prasertthai
※写真はイメージです

お金持ちは感情ではなく合理的な方法で判断する

一方で資産1億円を持つようなお金持ちは、感情に左右されることはありません。不動産投資の経験があることも多いのでマイホーム購入に際しても、明確な相場観を持っています。そして、周辺の相場より高いと感じたら値引き交渉をします。もし、希望の価格にならなければ買いません。

お金持ちはこの価格で「買うのか」「買わないのか」を判断しますが、一般の人は物件価格を見て、「買えるか」「買えないか」を考えてしまいます。「買える」と判断すれば、値引き交渉もせず買ってしまうのです。

しかし、中古物件はもちろんのこと、新築物件でも価格交渉が可能なケースは少なくありません。一般の人はそれを知らないことも多いので、値引き交渉をしません。また、一般の人は、この物件を逃したら二度とチャンスがないのではないかと思ってしまいます。しかし、お金持ちは経験値が高いので、そんなことはないことを理解しています。