ランキングが変わらなくても中身は変わっている

サッカーに喩えて考えてみましょう。2018~2019年シーズンは、マンチェスター・シティが1位、リバプールが2位で終えました。2019~20年は、リバプールが(COVID-19)による3カ月の中断を経て、ついに)1位、シティが2位でした。

もしランキングがすべてなら、この2シーズンはほとんど同じだったと思うかもしれませんが、大きな違いが隠されています。2018~19年、シティはリバプールより勝ち点が1ポイント上回って終えたのですが、2019~20年のリバプールは、シティを18ポイントも上回って終えたのです。

同様に、IMFランキングによれば、名目GDPの世界トップ7カ国はアメリカ、中国、日本、ドイツ、インド、イギリス、フランスです(※5)。これはサッカーの2018~19年シーズンのように写真判定が必要な差でしょうか、それとも2019~20年のような、ぶっちぎりの差でしょうか?

見てみましょう。

重要なのは順位よりも、どのくらいの差があるか

イギリスとフランスはほとんど区別できないほどのわずかな差(イギリスの経済規模はフランスよりわずか1.3パーセント大きいだけ)で、国の経済規模を測るのは微妙に難しいところがあることを考えれば、おそらくは誤差の範囲です。5位のインドもわずかに大きい(イギリスより約7パーセント大きい)ですが、圧倒的な差とは言えません。

しかし、順位を上げてドイツに来ると、イギリスより40パーセント大きく、その上の日本は87パーセント大きい。そして中国やアメリカに至っては、同じ土俵にも立てないほどです。

中国の経済規模はイギリスより380パーセント大きく(約5倍)、アメリカは630パーセント大きく、イギリスの7倍以上です。どの国が5位になるかという議論は、エバートン、アーセナル、ウルブス[いずれもプレミアリーグで中位のチーム]がヨーロッパリーグの出場権を懸けて争っているのと同じようなことなのです。