凡人が一変する人事の極意とは
幸之助は、成功の理由を聞かれたとき、こう答えた。
「凡人だったからだろう。人と比べて誇れるようなものはない。それがよかったと思う」
そして、次のように続けた。
「部下がみんな偉く見える。自分より学問や才能があり、立派に感じられる」
人の力を実際よりも上に見ることで感激させ、しかも絶妙の人使いをすることで、使われる人の能力はことごとく上がった。
幸之助が、時に周りと摩擦を起こすが、個性的で優れた人材を庇護したことはよく知られている。先端的な事業を、勇猛果敢ながら酒席が好きで喧嘩早い人物に任せようとし、周りが反対したとき、こう言った。
「あれは、そういう悪いところもあるけれど、いいところもある。よく働くものは飯もよく食うんや。飯を食うなというと働かなくなるよ」
一方で幸之助の非凡なところは、個性的なやり手ばかりでは集団は成り立たないからと、そうではない人にもチャンスを与えた点だ。彼らも幸之助にとっては「偉い人」だった。
あなたは安易な年功序列に安住していないだろうか?