シニアはもともと、「お金」「健康」「孤独」の3つの大きな不安を持っている。さらにコロナ禍で人と会う機会が減り、寂しさや孤独が募ったことで、自分を認めて必要としてくれる人を求めてしまうというわけだ。

やり取りする相手が本当に写真の人物なのか、ビデオ通話などをすると確認することもできる。そもそも、実際に会う前に結婚をちらつかせたり、お金の話を持ち出してくる時点で疑うべきだ。少しでも疑問を感じたら信頼できる家族や友人などに相談し、冷静に判断してもらうことが大切だ。

インターネットに疎い高齢者が狙われる「サポート詐欺」

利用者が増えているとはいえ、シニア層は機器やネットワークに疎い人が多い。その点に付け込むのが「サポート詐欺」だ。

パソコンがウイルスに感染したように見せかけ、利用者の不安を煽った上で、ウイルスを駆除する名目で金銭をだまし取る手口で、被害者の8割が60代以上の高齢者という。

だまされると、クレジットカード情報が知られてしまうほか、パソコンの中の情報が見られて不正にコピーされたり、不正なソフトをインストールされたり、不正アクセスの踏み台にされることもある。

国民生活センターによると、サポート詐欺の被害は近年急増しており、2017年度の473件から、21年度は12月末現在で1002件まで増えた。被害額も17年度は約1100万円だったが、21年度は12月末時点で約2億2000万円と過去最悪となっている。

ウイルス感染やハッキングの警告で数万円をだまし取る

今年1月には、このサポート詐欺で初の逮捕者も出ている。警視庁サイバー犯罪対策課は、サポート詐欺容疑でフィリピン国籍の容疑者ら3人を逮捕した。

都内の60代女性がパソコン画面を見ていると、「ウイルス、スパイウェアに感染しています!」という警告、音声が流れた。女性が表示された電話番号に電話すると、フィリピンのコールセンターに誘導され、遠隔で警告を解除後、サポート料として3万円をだまし取られていたのだ。

警視庁によると、この容疑者らは18年10月から19年7月の間に、400人以上から2000万円以上を詐取したとみられている。