インターネットで詐欺被害に遭う高齢者が増えている。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「高齢者はネットに関する経験や知識が若い人より少なく、一見だまされそうにない詐欺にも簡単に引っかかってしまう。困ったときにすぐ相談できる家族や身近な人の存在が重要だ」という――。
封筒に入っているお金を数える手
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定期購入した高額サプリの解約方法がわからない

ある40代女性は最近、70代の両親に頭を抱えることが起きた。

「コロナ禍でしばらく会えなかった両親に会ったら、自宅に開封さえしていないサプリの箱がたくさん転がっていた。とんでもなく高額なサプリを定期購入していることになっていて、要らないのに解約方法がわからないからと放っておいたよう。もっと早く相談してくれれば……」

このように、初回のみ安価または無料だが、2回目以降は高額になったり、「半年間は解約できない」などとされているトラブルは増えている。このような注意書きは小さな文字であえてわかりづらく書かれていることも多く、「定期購入商法」と呼ばれる最近増えているトラブルの一つだ。

国民生活センターの資料によると、2020年度に寄せられた消費者相談のうち、契約当事者が60歳以上である相談件数は約34万件に。コロナ禍で感染リスクを避けるために高齢者の利用が増えたことで、通信販売に関する相談が増加し、過去最高の相談件数となったのだ。

国民生活センターにも、定期購入のサプリに関する相談が寄せられている。70代の女性は、スマートフォンのインターネット広告から初回500円のダイエットサプリメントを申し込んだが、その後2万円を超える請求を受けたという。電話では解約手続きができず、案内された無料メッセージアプリでは操作がうまくできないというものだ。

SNS詐欺のターゲットは若い人だけではない

SNSでトラブルに巻き込まれる中高年は年々増えている。国民生活センターに2019年度に寄せられた50歳以上の相談件数は4745件で、2010年度の145件と比べて30倍以上と大きく増加した。

国民生活センターでは、<SNSをきっかけとした消費者トラブルにご注意! 中高「生」だけじゃなく中高「年」も>(2020年4月9日:公表)というタイトルの報告書で注意を呼びかけている。

たとえば報告書では、60代男性のこんな事例が紹介されている。