切り返すときこそポジティブに
ビジネスコミュニケーションでは、切り返しやお断りなど、言いにくいことを言う場合こそ、ネガティブではなくポジティブな印象を与えるのがポイントです。
例えば、お客さまに話せない情報がある場合「申し訳ございませんが、その件についてはお答えできません」という否定的な表現ではなく、「あいにく、お答えいたしかねます」という肯定的な表現を選択すると感じがよくなります。
これと同じように、進学先を聞かれた時にも、「申し訳ないけど、教えられないわ」というネガティブな表現よりも「あいにくお答えいたしかねます!」とポジティブな表現のほうが悪い印象にはなりにくいものです。
そして大事なことは、切り返すときは、笑顔とやや強めの口調で「これ以上聞かないでほしい」と意志を伝えること。つい感じが悪くならないようにと気を使うあまり、「ええ、まあ……」と困った表情を見せたり、言い淀んでしまったりすると、相手に隙を与えてしまいます。「決してあなたが嫌いなわけじゃないの。ただ、この話題には答えたくないの」という気持ちを表情と話し方で伝えてください。
番外編…子どもの事情をチームで共有しておく
一方、こんな事例もあります。バリキャリのワーキングマザー、女性管理職のAさんは、思春期の息子の進路について悩み多き日々を送っていました。そのため、心身ともに疲労がたまり、仕事にも影響が出そうになりました。
そんな折、Aさんは息子から「ママは僕を信じてないの?」と問われハッとしました。この出来事をきっかけに子どもから精神的に自立をしようと吹っ切れたそうです。
そしてチームメンバーにも「受験シーズンの○月は家族優先になる。だけどその分、前倒しをして仕事はしっかりする」とプライベートの状況を打ち明けたところ、協力体制が整って非常に仕事がしやすい環境になったそうです。
その後、息子さんは1浪をして、見事第一志望の大学に合格、今では立派に社会人となりました。結果的にAさんは仕事もプライベートも一層充実した毎日を送っています。
Aさんのように仕事ができる女性ほど、仕事もプライベートも完璧を求めがちです。しかし、こうした子育ての悩みといった“ちょっとした自己開示”をすると、周りはホッとするかもしれません。それに特に女性の場合、リーダーが率先して、ある程度自己開示をしてくれたほうが、自分も育児や介護、健康面などプライベートなことを共有しやすく、仕事もうまく回りそうですね。
マウンティングや興味本位で進学先を聞いてくる人は論外ですが、職場では、進学先を教えるかどうかは別にして、プライベートの事情を知っておいてほしい人の範囲や、どこまでの内容を開示・共有するか、自分のスタンスをあらかじめ決めておくのもいいかもしれません。
普段からこうして備えておくと、突然、想定外の相手から「どこに決まったの?」と聞かれても慌てず、落ち着いて対応できます。子どもの進学先で気まずい雰囲気にならないように、職場の同僚、友人と良好な関係を保ち気持ちよく過ごしたいですね。