新規参入の企業が増えれば、均衡価格が低下する

長期であれば、企業は市場に参入したり、市場から退出したりできる。新規参入するのはそこに経済学の利益があるからであり、退出するのはそこに損失があるからだ。

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またグレーズドドーナツで考えると、ニュージーランドの研究が発表された結果、業界に経済学の利益が生まれ、新規参入が促された。新規参入する企業が増えると、競争は激化し、供給されるグレーズドドーナツの量は増加する。供給の増加によって均衡価格が低下し、経済学の利益は消滅する。

この利益の減少に加え、カリフォルニアの研究も発表されると、ドーナツ企業の中には廃業しなければならない状態になり、業界から退出するところも出てくる。その結果、競争が減り、業界全体のグレーズドドーナツの供給も減る。供給の減少によって市場の均衡価格が上昇する。最終的に、業界に残る企業が少なくなり、業界は長期の均衡価格に到達して経済学の利益はゼロになる。

「完全競争」は現実の世界には存在しない

完全競争は現実の世界には存在しない。完全競争のすべての条件を満たすような業界を見つけるのは不可能だ。とはいえ、現実の市場と完全競争市場を比較することで、現実の市場がより深く理解できるようになる。実在はしないが、1つの基準として思考の助けになってくれるということだ。

ほとんどの企業は、新しく市場に参入しようとすると、何らかの障壁によって参入を阻まれる。それは費用かもしれないし、政府が決めた参入要件かもしれない。

違う企業がまったく同じ製品を扱うことはめったになく、それぞれの企業が競争相手と差別化するために多大な投資をしている。この自らを差別化できる能力は、価格への影響力につながることもある。

アメリカのような成熟した市場では、企業は大きくなる傾向があり、必ずしも独立しているわけではない。また、情報へのアクセスはすべての企業に平等に与えられていない。つまり、完全情報の状態にもなっていないということだ。そうやって誕生するのが、完全競争ではなく「不完全競争」だ。

経済学では、競争のレベルによって市場を分類する。ここに1本の線があるとして、完全競争の状態を達成した市場が一方の端にあり、そしてもう一方の端には独占状態の市場がある(ただし、完全競争市場は現実には存在しない)。

その両極端の間にあるのが、「独占的競争市場」と「寡占市場」だ。私たちにとってもっともなじみがあるのはこれらの市場だろう。