現在以上に女性皇族が結婚困難になるのがオチ

まず①の案については、女性皇族が結婚しても夫と子は一般国民のままで皇族にならない想定ですから、夫と子は、財産権も営業の自由も政治活動や信教の自由も保障されることを意味します。

つまり皇族の夫と子が、その立場やイメージを営業活動に利用したり、新興宗教を立ち上げたり、政治運動に利用するのも自由だということになります。

実際にはそういう事態が起こらないように、女性皇族の結婚相手については今以上に厳しい「身体検査」が行われるようになり、メディアの追及も激化するでしょう。

結婚して皇室から離れる眞子さんの時ですら小室圭さんに対してあれほどのメディアのバッシングが起こったのですから、結婚しても女性皇族が皇室から離れないということになれば、どれほど過酷な取材や報道が行われるか、容易に想像がつきます。

果たしてそういう状況を覚悟して女性皇族と結婚する人が現れるでしょうか。

現実的に考えてみると①の案は、結婚した女性皇族が活動するようになるというより、単に現在以上に女性皇族が結婚困難になるのがオチだと思われます。

想定されていない女系皇族

なお、仮に女性皇族の夫と子も皇族になるという制度にした場合、新たな難問が出てきます。現在の制度では想定されていない「母親は皇族だが、父親が一般人である皇族」(いわゆる「女系」の皇族)が現れることになるからです。

現在の皇室典範では、父親が一般人である皇族というのは想定されておらず(だからこそ女性皇族は結婚すると皇室を離れることになっている)、天皇になれるのも、父親が天皇か皇族である男性皇族(前述の「男系」)に限られているのです。

誰が皇室の養子となるのか

一方②については、現在は認められていない養子制度を皇室に導入することが前提になっています。養子といっても誰でもいいというわけにはいきませんから、有識者会議としては、基本的には過去の天皇の子孫の一般国民を養子にする仕組みを考えています。

具体的に案として挙がっているのは、いわゆる旧皇族とか旧宮家の子孫と呼ばれている人々です。

あまり詳しくない読者の方のために、この「旧宮家」についてここで簡単に解説しておきましょう。旧宮家とは、第2次世界大戦後の1947年10月14日まで皇族であった11の宮家のことですが、今の天皇家や秋篠宮家との血縁はかなり遠いのです。