図を見てほしい。若いときのキャリアはいわば「筏下り型」であり、激流の中、与えられたハードルを懸命に乗り越えていくことで力をつける。しかし、30代半ばからは、「山登り型」に切り替える必要がある。それまでの経験を基に本当に自分が進むべき目標(山)を設定し、そこに向かって全力を注いでいくことで真のキャリアが花開くのだ。終身雇用が機能していた時代の日本では、自分でキャリアゴールを見つけなくとも、目の前のルーティンワークさえこなしていれば、会社が自動的にゴールをくれたものだが、いまはそうはいかない。
若いうちのキャリア形成についてのマニュアルは多々あるが、ミドルキャリア以降の働き方については、日本ではこれまであまり語られてこなかった。個人差が拡大するために、共通して語れることが少ないという理由が大きいだろう。
しかし、ビジネスパーソンとして最も脂ののる40代、そしてそこからトッププロが巣立っていく50代こそ、自律的なキャリアデザインの必要性が高まる世代でもある。それを前提に、20代からシニアまでキャリアデザインの重要性を確かめておきたい。
(構成=石田純子 撮影=永井 浩)