感染者5万人でも暮らしはすっかり元通り

1日当たりの新規感染者数がいまだに5万人前後、死者数も引き続き3桁という状況のイギリスだが、街の様子を見れば「コロナなんていずこに?」と言わんばかりに人々の暮らしはすっかりと元に戻ってしまった。すでにブースターと呼ばれる3回目のワクチン接種が予約なしでできる中、イギリスは世界に先駆けてコロナ治療用内服薬の使用を薬事承認した。

ロンドン中心部・ピカデリーサーカス。マスクをしている人はほとんど見かけない
筆者撮影
ロンドン中心部・ピカデリーサーカス。マスクをしている人はほとんど見かけない

これでイギリスは「経済のV字回復」に向け、マスク着用義務から入国にかかる規制措置に至るまで、相次いで解除に踏み切った。今後は、コロナの重症患者が再増加し、厳しいクリスマスを迎える事態に転がり落ちるのかどうかが注目される。

入院者数18万人→ワクチン接種で7万人台に

イギリスでは現在、国民の間でも「欧州各国に比べても、いまだに感染者数がこんなにいるのは異常だ」という意見が高まっている。そうした疑問を解くために、公共放送BBCも「その謎に迫る分析記事」を発表した。それによると、比較に値する数字として次のようなものが示されている。

新規感染者数とコロナによる入院者数の相関
・2020年10月~2021年1月
新規感染者数 270万人
コロナ入院者数 18万5000人

2020年12月ワクチン開始=
・2021年7月~10月 
新規感染者数 300万人
コロナ入院者数 7万9000人

人口10万人当たりのコロナによる入院者数(9/20-26の1週間計)
80歳以上
・ワクチン接種済 54人
・ワクチン未接種 141人
18歳未満
・ワクチン接種済 ゼロ
・ワクチン未接種 4人

こうして見比べると、着実にワクチン接種の効果は上がっているように見える。もっともワクチンの効能自体がゼロコロナを目指すものではなく、何らかの形でかかったとしても重症化しないため、という予防的な要素がより大きい。

ブレークスルー感染がないとは言い切れず、感染拡大がいまだ消えたわけではないとしながらも、イギリス政府は7月19日から段階的に行動制限の緩和を進めていった。