大阪駅地下にできる意外な新駅の名前
問題は地下に設置予定の駅だ。再開発と同時に、この区域の西側を走っている東海道本線の支線(梅田貨物線)が地下に移され、同時に新駅が設置される。
この梅田貨物線は特殊な路線で、もともと東海道本線と旧梅田貨物駅や桜島線の安治川口駅を結ぶために設けられていた。
しかし貨物輸送が減少したことで、京都駅・新大阪駅方面と、西九条駅から大阪環状線を経由して天王寺駅方面を結ぶバイパス線として使用されるようになった。
特急「はるか」が京都方面から関西空港へ向かう場合、大阪駅で東海道本線から大阪環状線へ転線すると、平面交差が必要となるため、運行ダイヤに支障を来す。新大阪駅と西九条駅を短絡する梅田貨物線を通れば、大阪駅というターミナル駅を通過することになってしまうものの、他の路線に迷惑を掛けることがない。
こうして梅田貨物線は、「はるか」や南紀方面へ向かう特急「くろしお」など、主に特急列車が運行される路線となった。これを再開発と同時に地下へ移設し、通過している大阪駅に隣接する場所に地下新駅を作ろうというのが地下化の趣旨だ。
新設の地下駅は、名称が「大阪駅」となることが決定した。つまり新駅ではなく、既存の大阪駅の構内となる。東京駅の京葉線ホームのように、連絡通路は長くなるが、同一駅という扱いだ。西側に拡張される新たな改札口付近から、連絡通路が設けられる見込みだ。
新大阪駅から直通で関西空港に向かう路線が10年後完成する
そして、この地下新駅から分岐し、福島駅付近からなにわ筋の下を通る地下線「なにわ筋線」も計画されている。途中でさらに分岐して、JR難波駅へと向かう路線と、南海新今宮駅へと向かう路線が2031年に完成する予定だ。大阪府や大阪市、JR西日本などが出資する第三セクターの関西高速鉄道が建設し、JRと南海が運行する形となる。
JRは京都・新大阪駅から地下新駅を経由し、JR難波駅・天王寺駅を経て関西空港方面へ向かう特急列車を走らせることができる。
西九条駅から大阪環状線の西側区間を経由して天王寺駅を回るルートより短絡化できるうえ、中之島や難波と新大阪駅が直結し、新幹線の接続利便性が大幅に向上するというメリットもある。「はるか」は京都・新大阪・梅田・難波・天王寺という、関西の主要なターミナル駅を網羅する空港特急となる。
これは、難波から関西空港へ特急「ラピート」を運行している南海にとっては脅威だ。そこで、南海もなにわ筋線への乗り入れを熱望した。できれば新大阪駅、最低でも梅田の地下新駅までは乗り入れたいが、競合するJRはさせたくない。
綱引きの結果、2017年に協議がまとまり、南海は地下新駅まで乗り入れる代わりに、JRに使用料を支払うこととなった。