「Z世代」と呼ばれる若者たちのニーズは、コロナ禍の影響もあって大きく変化しています。若者研究を重ねてきた原田曜平さんが、2020年下半期から2021年上半期にかけてのZ世代のトレンドを分析。その結果から見えてきた、若者に売れにくいものを売るコツとは──。
図書館で勉強する学生グループ
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

ここ1年で顕著になった「友情確認」ニーズ

コロナ禍は、Z世代の心理や行動にも大きな影響を与えました。ここ1年ほどの若者のトレンドには、コロナ禍だからこそ生まれたニーズが基になっているものが多く見られます。今回は、そのうち特に若者をターゲットに商品を開発する場合に知っておきたいニーズを3つ、背景とともに解説していきたいと思います。

まず1つめは、人に会えない生活を背景として生まれた「友情確認ニーズ」です。コロナ禍で非接触・非対面が進んだことによって、若者の間には友達と直接会う機会をやや非日常的なもの、少し特別なものと捉える傾向が出てきました。

これにより、友達と直接会える際には「せっかくの機会だから一緒に特別なことをしたい」というニーズが生まれています。コロナ前は、一緒におしゃれなカフェへ行ってパンケーキを食べる、それを撮影してSNSに上げるといったことが日常でした。

しかし最近では、より特別感のある行為、例えば宅飲みの際に非日常的な料理やドリンクをつくり、その様子を動画撮影してTikTokに上げる若者が増加。根底には、思い出づくりをしたい気持ちや、周囲に自分たちの仲の良さをアピールしたいという思いがあるようです。

「映えを気にせず楽しむ仲」であることをアピール

そして、インスタ映えする投稿がありふれたものになった今、それでは本当の仲の良さが伝わらないと感じる若者も出てきました。そこではやったのが、従来のおしゃれな投稿とは真逆を行く「豪快シェア」です。

自宅でテーブルの上にナチョスを広げて豪快に食べる「ナチョステーブル」、お酒や冷凍フルーツなどをバケツに入れて飲む「パリピ酒」、ステーキチェーンのペッパーランチのメニューを再現する「お家でペッパーランチ」──。

いずれも写真ではなく動画で広まり、TikTok上ではまねをするZ世代が続出しました。インスタ映えしない“豪快すぎる行為”を友達と一緒に行うことで絆を確認し合い、周囲にも映えを気にせず楽しむ仲なのだとアピールしたい。今、Z世代の間には、そうした絆確認を含む「友情確認ニーズ」が生まれているのです。