<strong>日本IBM最高顧問 北城恪太郎</strong>●1944年、茨城県生まれ。慶應義塾中学、高校卒。67年慶應義塾大学工学部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。72年カリフォルニア大学大学院(バークレー校)修士課程修了。93年代表取締役社長。2007年より現職。10年より国際基督教大学理事長も兼任。
日本IBM最高顧問 
北城恪太郎

1944年、茨城県生まれ。慶應義塾中学、高校卒。67年慶應義塾大学工学部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。72年カリフォルニア大学大学院(バークレー校)修士課程修了。93年代表取締役社長。2007年より現職。10年より国際基督教大学理事長も兼任。

高校時代、日曜学校を英語で行っている教会があると聞き、そこに通い始めました。中学を卒業するとき、尊敬する担任の先生から「英語の成績がよくない」と指摘されたことがきっかけで一念発起した私は、高校に入ってから英語を必死に勉強しました。そして授業以外の学習手段として、教会通いを始めたのです。

もともと信仰のためではありませんでしたが、そこで聖書の話を聞くうち、2000年もの間、人々に受け継がれてきたキリスト教の中に何があるのか、ということに関心を持ちました。

その後、大学を卒業し、社会人としての人生を歩みはじめたとき、友人の誘いで再び教会に通い始めました。そこで信仰の話を聞きながら、一度しかない人生を自分の考えだけで生きることもできるが、変わることのないものに支えられて歩んでゆくべきではないかと考えました。自分を背後から見守ってくださる方が存在するということを感じていましたから、それなら私は神様に従って生きようと決めたのです。就職した年のクリスマスイブに洗礼を受け、同じ日に洗礼を受けた女性が後に妻となりました。

聖書に次のような言葉があります。「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい」(新約聖書「ペトロの手紙(一)」4章10節)。

人間はそれぞれみな才能、長所を持っているのだから、それを活かしなさい、という意味の一節が、社会に出たばかりの私の背中を押してくれました。ビジネスマンとして生きることが自分に与えられた賜物であり、学生時代から好きだったコンピュータ関係の仕事が自分の進むべき道であると確信できたのです。

しかし実際、仕事を始めてみると失敗したり悩んだりするものです。そんなとき励ましてくれた言葉は、「神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています」(新約聖書「ローマの信徒への手紙」8章28節)という一節です。おかげで、「自分に与えられた賜物で全力を尽くせばいい。結果はどうあろうと神様によって与えられた道なのだ」と考え、常に心に平安を持ちながら働くことができました。