40代女性「2週間で1700万円分の暗号資産を送って、全てを失った」

筆者の元に寄せられる被害報告の多さから考えるに、暗号資産で送金させる詐欺の手口はかなり横行しているとみています。しかしながら、警察が被害届を受理しないケースもあり、実際にどれぐらいの被害なのか全容解明には至っていません。

ただ、その被害の一端を送金実態から垣間見ることはできます。

40代女性は2つの送金アドレスで暗号資産を送っています。

送金アドレスとは、銀行での振り込みでいえば、銀行コードや振り込み先の口座番号などを合わせたようなもので、これを入力すれば、相手に暗号資産を送ることができます。

暗号資産のイメージ
写真=iStock.com/NicoElNino
※写真はイメージです

ただ銀行振り込みと違うのは、誰でもネット上で送金アドレスの現在の残高や入出金の取引状況を知ることができる点です。

筆者も1つ目の送金アドレスAを調べてみました。すると、570回を超える取引(入出金)があり、送金された総額は「110.5***BTC」に上っていました。日本円で約5億2900万円です。

2つ目の送金アドレスBでは、約250回の取引がなされており、総額「48.8***BTC」。日本円で約2億3300万円です。

すでにここに送られた暗号資産は、別な送金アドレスに送られており、現在の残高はゼロになっています。この2つの送金アドレスの金額を合わせると7億5000万円を超えており、どれだけの被害が出ているかがわかります。

40代女性の被害経過をもう少し細かく見ていきましょう。

今年6月頭、彼女は送金アドレスAに11万円分の「イーサリアム(0.33***ETH)」を送金します。その後、その額を超える「同(0.41*ETH)」が戻ってきます。これは、詐欺の常とう手口で、投資で儲かったという体で、利益分をプラスしてお金を戻し、いつでもお金を引き落とせると安心させて、その後、一気に投資金額を引き上げるのです。

数日後、彼女は100万円分を「ビットコイン(0.23***BTC)」で送金します。3日後には500万円分。その後も送金を続けて、最後に600万円の「同(1.34***BTC)」の送金をしてしまい、偽サイトへの投資額は計1700万円に。わずか2週間で多額の被害に遭ったのです。

6月下旬に、自分が口座開設した暗号資産交換所に対しては、すでに警察に詐欺被害の報告をしている旨を伝えています。