福島での原発事故や近年の原油相場の高騰、CO2排出削減の流れなどを受けて、天然ガスが相対的に存在感を高めている。なかでも既存のガス田とは別に急速に脚光を浴びているのが、これまで十分に開発されてこなかったガス田から得られる天然ガスだ。これら非在来型ガスとでもいうべきものの代表格といえるのが、シェールガスである。

シェールガスは埋蔵量が多い
図を拡大
シェールガスは埋蔵量が多い

シェールガスとは、固い泥岩(頁岩=シェール)層に含まれる天然ガスを指す。これまでは原油価格に見合う開発コストでは採取できなかったため、BPやエクソンモービルといった大手石油メジャーからも諦められていたメタンガス資源だ。

シェールガスの存在は1970年代から確認されていたものの、当時の原油価格は1バレル=11ドル程度。これが200ドル程度にまで上昇しないと採算には合わないとされていた。しかし2度のオイルショックや新興国の台頭を受けて原油価格は大幅に上昇している。

加えて採掘コストが大幅に下がっている。3次元探鉱技術により、これまで「1000に3つ」といわれた有望埋蔵層の発見確率が大幅に向上。また、頁岩層の水平掘削や水圧破砕=フラクチャリング(割れ目をつくる)技術といった各種掘削技術の進歩により、採掘効率が改善してきたのだ。

こうしてシェールガスはすでに採算ベースに乗った資源として認知されるようになってきた。

つい最近になって、環境汚染などの問題から想定された開発コストから大幅にコストアップするとの懸念が示されるようになった。だが、これらの問題にもいずれ折り合いはつき、中長期では日本近海でも埋蔵が期待されているメタンハイドレートなどとともに次世代のエネルギーを担う存在になっていくのは間違いないと考えている。

※すべて雑誌掲載当時

(図版作成=ライヴ・アート)