ガソリンスタンドの減少が、地方では深刻な問題に
軽自動車は公共交通機関が減少している地方にとってはまさに「生活の足」なのだが、ガソリン車を支えるインフラがどんどん弱くなっている。2000年3月末に5万5153カ所あったガソリンスタンドは20年3月末には2万9637カ所となり、20年間で半分近くまで減った。ハイブリッド車など低燃費のクルマが増え、ガソリンの消費量が減ったためである。電動化が加速する今後もガソリンスタンドは減り続け、過疎地ではさらに給油が不便になる。軽自動車がガソリン車のままでは「生活の足」としての地位を失いかねない。
一方、自宅で充電できるEVを使えば、ガソリンスタンドでガソリンを給油する必要はなくなり、地方に住む人たちの社会課題の解決につながるのだ。
他社の動きはどうか。
2025年までには軽メーカー全社がEVを発売することになる
2040年までにガソリン車とハイブリッド車を廃止し、EVと燃料電池車(FCV)に移行することを4月に表明したホンダは軽タイプのEVを2024年に発売する。日経新聞によると、7月に複数のメディアの取材に応じた三部敏弘社長は「軽自動車の利用者を分析してどういうEVが受け入れられるかを考えている」と答えた。
またスズキの鈴木俊宏社長は7月のトヨタ自動車、ダイハツなどとの共同記者会見で「軽自動車ならではのやり方でEVを開発する。EVの特長であるゲタ代わりのポジションを極める。バッテリーの量を減らしながら、どうやって走らせることができるかを考える」と語った
三部社長、鈴木社長の発言から透けて見えてくるのは、消費者が軽タイプのEVに求める航続距離がどの辺にあるのかを見極め、電池量を減らすことで手頃なEVを開発するという方向性だ。
軽タイプのEVはホンダの2024年に次いで、スズキが2025年までに発売すると表明している。日産・三菱の市場参入の動きを受けて、それぞれ発売が前倒しされる可能性もある。
ダイハツもそうした動きに追随せざるを得ず、国内の軽自動車メーカーは全社が2025年までにはガソリン車並みの価格のEVを発売することになるだろう。