国内のEV市場の牽引役は、当面の間、軽自動車になる

宅配便などの分野ではすでに軽タイプのEV化が進み始めた。佐川急便は2022年秋ごろから中国製の軽タイプのEVを導入し、2030年までに宅配用の軽自動車をすべてEVに切り替える。こうした動きはヤマト運輸や日本郵便にも広がっている。配送センターから個人宅などへの近距離の配送には航続距離が長い必要はないからだ。

2050年のカーボンニュートラル(CO2排出量の実質ゼロ)の実現に向けて、政府が電動化、中でもEV化促進の旗を振っても、その使い勝手やお買い得感がなければ普及は進まない。だが2022年に登場する軽タイプのEVが先駆けとなって、商用車、公用車、そして自家用車としてEVが身近な存在になっていくだろう。2025年までに軽自動車メーカー全社がEVを出すので消費者には選択肢も増え、市場は活性化する。

全個体電池などの高性能な電池が実用化されるのは2020年代の半ば以降である。それまでの間は登録車ベースのEVは多くの消費者を十分に満足させる航続距離と値ごろ感を実現できないだろう。EV化には不向きと見られていた軽自動車が実は当面の間、国内のEV市場の牽引役になるとみてよい。

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