イヌリンは朝に摂ると便秘改善の効果あり

次にバクテロイデスとファーミキュティスという細菌の存在比(%)を調べました。一般的にバクテロイデスが多い方が肥満になりにくく、一方ファーミキュティスが多いと肥満になりやすいといわれています。実験では、菊芋を摂取すると、バクテロイデスが増加し、ファーミキュティスが減少する傾向にありました。ただ、菊芋を朝摂取しても夕方に摂取しても、この効果は認められたものの、ここでも個人差が大きい結果となりました。

柴田重信『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』(ブルーバックス)
柴田重信『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病』(ブルーバックス)

また、別の調査で、高齢者を対象に菊芋の主成分であるイヌリン5gを10週間摂取してもらいました。食べ方は自由で、摂取時刻と排便状況を記載するようにお願いしました。その結果、10週間にわたって継続して摂取した人は全体の70%で、非常に継続率が高くなりました。朝10時までに摂取した人の継続率が高く、一方で摂取を中断した人の半数以上は午後4時以降に摂取した人でした。継続した人はその理由について、便秘の解消や排便状況および胃腸症状の改善が見られたことをあげています。

このことから、イヌリンは便秘の改善につながり、夕方より朝に摂る方が、その効果を感じられ、そのことが摂取の継続につながるという可能性が考えられます。

【関連記事】
【第1回】「なぜ朝カレーは体によくて、夜ラーメンはダメなのか」時間栄養学でわかった人体の不思議
【第2回】「睡眠の悩みは食事で改善できる」朝に食べると夜ぐっすり眠れる"ある食べ物"
「野菜たっぷりなら良いわけではない」糖尿病患者にほぼ確実に不足している"ある食べ物"
「たくさん食べればがん予防が期待できる」世界の長寿地域で定番化している"ある食材"
ある日突然、「糖尿病です」自粛中に予想外に進む"数値異常"の恐怖