なんとなく通常営業に近づいている

いや、いますでにそうなっている。いまは、緊急事態宣言だ。そして最初の2020年4月に比べて緊張感が緩んでいると、有識者と称する人たちは嘆いてみせる。でも見てみよう。一般の人の活動以前に、美術館もやっている。学校もやっている。映画館もやっている。公立のスポーツ施設もやっている。すでに公共ですら、人にお願いをしておきながら、申し訳程度の対策をしつつ、通常営業にだんだん近づけている。

もちろんそれに対応して、民間もだんだん通常営業に近づいている。レストランもお酒以外はやっている。映画館もやるし飛行機も飛んでいる。最初の緊急事態宣言とは、環境がまったくちがう。この状況で、緊張感が緩んでいるとか、自粛疲れとか罵倒されるのは、だれもが心外だろう。みんな、環境に反応しているだけだ。

口だけは緊急事態宣言と言いつつ、中身はどんどん以前と同じ状況になりつつある。それで患者数が増えたところで、もうあまりできることはないから、と行政も投げ気味だ。でもまだわからないけれど、さっきも述べたワクチンの効果か、死者はあまり出ていないようだ。だったらそれでいいじゃねえか。

車をすべて禁止すれば自動車事故はなくなるが

ワクチンの接種はどんどん進めよう。運悪くかかってしまった場合にも、治療薬や症状を抑える薬がだんだん出てきているような報道もある。また長期的な対応としては、集中管理できる施設の整備方針とか、医療従事者の予備役とか、注射くらいは打てる予備軍の養成とか、おそらくぼくがおもいつく程度の案はすでに検討(というのは、検討したけど断念というヤツではなく、何らかの形で実現に向けた動きがあるということ)されているんだろうと信じたい。医療のほうで、こうした緊急事態にすぐ対応できるような仕組みを拡充するのは必須だ。

でも、それが間に合わなかったら? 不十分だったら?

国民は、××総理辞めろとかハッシュタグで憂さを晴らし、内閣支持率も下がるかもしれない。でも……それだけだ。コロナにかかった? それはかわいそう。一日死亡者が少し増えた? それはご愁傷様。今後の状況を、緊張感を持って注視しましょう。でもそれだけだ。

やることはやった、できることはやった。それ以上はもう、ワクチンを打たなかった人が自分で選んだ道であり、それ以外の部分は天災であり事故だ。自動車事故だってなんだって、一応常識の範囲でできることをやって、それでも出てくる被害は事故だ。そりゃあんた、車をすべて禁止すれば自動車事故はなくなる。でも、しないじゃん。それと同じだ。