外貨ではなく外国資産を持つべき
日本経済は衰退するからというのであれば、投資すべきなのはドルやユーロや人民元といった通貨そのものではなく、アメリカや欧州や中国の企業や不動産に投資をすべきです。それは外貨を持つことではなく、外国資産を持つことなのです。この考え方は正しいです。
国がどこであれ、成長性のある企業は存在します。例えばこの20年ぐらいの間を考えると米国株に投資をしてきた人は、日本株だけにしか投資しなかった人に比べて何倍も資産を大きく増やしています。中国株も同様です。GAFAと言われる米国の成長企業群は日本ではなかなか育っていません。したがって、世界に幅広く成長性の高い企業を求めて投資をするというのはとても良いことです。それはおおいにやるべきだと思います。
しかしながら通貨だけを持っていても仕方ありません。通貨そのものは単なる記号、データでしかなく、それ自体が新たな価値を生み出すものではありません。海外の企業に投資をするにあたってはドルやユーロに両替しないとできないから仕方なくするだけの話です。
また前述のように「日本経済が破綻して円が紙切れになってしまう」という人は、全く現実を理解出来ない人です。なぜなら、もしそんな事態になったなら社会は大混乱するでしょうから、恐らく外貨を持って海外に出るなどということは難しくなるでしょう。したがって外貨を持っていれば安心というのはあくまでも机上の空論に過ぎず、実効性という点では何ら意味がないことだと考えるべきです。
外国為替に投資することで利益が得られると思う勘違い
また、こんな風に考える人もいます。「1ドル70円台とか80円台の円高の頃にドルを買っておけば、儲かったではないか。だから外国為替に投資しておくことは儲かる可能性がある」と。もちろんそれはその通りですが、それは価格の変動に賭けた単なる為替投機に過ぎません。外国為替に“投資する”という概念がそもそも根本的な勘違いなのです。
為替取引というのは要するに異なる通貨を“両替”することであり、為替レートというのはその両替をする時の比率です。したがって為替取引というのは決して投資などではなく、あくまでも通貨を両替する時の比率の変動に“賭ける”という一種の投機なのです。株式のように成長する会社の株をずっと持ち続けていれば、誰もが利益を得ることができるという性質のものではありません。