「同じものも違って見える」右利きと左利きの決定的な違い

右と左の絵、どちらが笑っているように見えますか?

【図表1】どちらが笑っているように見えますか?
イラスト=福田玲子
【図表1】どちらが笑っているように見えますか?(出所=『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』)

右利きの人は右、左利きの人は左のほうが笑っているように見えます。

実はこの絵は、左右反転しただけで、右も左も同じ絵です。それでも、どちらかが笑っているように見える。不思議ですよね。そのうえ、多くの方が右の絵のほうが笑っているように見えると答えます。

これは、人間は右視野よりも左視野を重視しがちな認知傾向があるからです。

この認知傾向は「シュードネグレクト効果」というバイアスであり、右利きの人は、特にその傾向が強く表れるといいます。つまり、右の絵が笑っているように見えると答える人が多くなるのは、人間の約9割は右利きだからと考えられます。

ただし、統計学上のことなので、もちろん例外もあります。右利きの人が左の絵が、左利きの人が右の絵が笑っているように見える場合もあります。

見ている世界、印象はがらりと変わる

魚の絵を描くときは左を頭にするのが一般的ですが、魚屋さんに並べられている魚も、お皿に盛られた焼き魚も左が頭になっています。

これは、左視野にある情報を重視する、人間の認知機能が生み出した慣習の1つといえます。ひと目で「これは魚だ」とわかるようにと、人々の間でつくられていったのでしょう。

左側重視を恋愛術に活かそうと、左側への視線を意識したヘアスタイル、メイク、ファッションなどのアドバイスをする人たちまでいます。意中の相手がいるときは、左側に座るようにと指南する人までいます。

左利きの場合は、右側重視になる人も多いようです。ちなみに、もともと左利きの私は、左のほうが笑っているように見えます。あなたが左利きなら、同じように左の絵が笑っているように見えたかもしれませんね。

このように右利き、左利きという違いでも、見え方が変わってきます。

2人で同じものを見ても、左側にある情報を重視するか、右側にある情報を重視するかが異なり、見ている世界、見たものの印象ががらりと変わります。夫婦でも同じ人を見ているのに全然違う印象を持っていたり、テーブルの上のものの配置の好みが違うことがありますが、優先する視野の違いが原因かもしれません。

彼女が駐車が苦手なのは、脳のせいだった

さて、問題です。

車は、何番の駐車場に止まっているでしょうか?

【図表2】車が止まっているのは何番でしょうか?
イラスト=福田玲子
【図表2】車が止まっているのは何番でしょうか?(出所=『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』)