コロナ禍には、若い世代や夜の街、パチンコ店など、さまざまな対象が集中的にバッシングされた。脳科学者の中野信子さんは「そうしたバッシングには脳科学的な理由がある」という。セブン‐イレブン限定書籍『脳を整える 感情に振り回されない生き方』からお届けする――。

※本稿は、中野信子『脳を整える 感情に振り回されない生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

パチンコ
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膨れ上がった「みんな」という存在

古くから集団をつくって生きてきた人間は、社会からの「同調圧力」に影響を受けてしまう性質を持っています。

とくにいまは、SNSによってあらゆる情報に触れる機会が増え、この傾向はどんどん強まっているようです。よく「みんな○○だと思っている」「みんなが○○だから」などと表現しますが、その「みんな」の存在がものすごく膨れ上がったのが、ここ20年における大きな変化ではないでしょうか。

そして、この「みんな」が、「早く結婚しろ」「働かざる者食うべからず」「女はこうあるべき」「男はこうあるべき」などと押しつけてくるわけです。

興味深いのは、「自分」というのは案外あいまいな存在なので、社会から同じことをいわれ続けると、いつのまにか、そのいわれたことに合わせようとしてしまうこと。

これは、身のまわりにいる数人程度の規模でも同様です。

「あなたは痩せているね」といわれ続けると、なぜかいつも痩せていなければならない気がしてしまうという圧力です。痩せていないとまわりからはみ出すような気がして、生きづらくなってしまうわけです。

まわりからいわれることに合わせて生きてしまうと、どんどん生きづらさが増してしまいます。