兄弟で起業、30歳にしてビリオネアに

ペイパルと同じ電子決済事業で飛躍的な成長を遂げているのが、アメリカのストライプです。日本では岡山県を本拠地にしたストライプインターナショナルというアパレルの会社がありますが、関係はありません。

アイルランド出身のパトリック・コリソン氏は高校の頃から起業をし、地元のアイルランドの省庁からは出資を得ることができない一方で、シリコンバレーの投資家は興味を示したため、アイルランドを飛び出し、カリフォルニアに本拠地を移転。

その後会社をカナダの会社に売却しつつ、コンピュータサイエンスをアメリカのマサチューセッツ工科大学で学んでいたところを新しく電子決済事業の「ストライプ」を起業するために中退。

2歳下でハーバード大学で学んでいた弟のジョン・コリソン氏と共に2010年に創業しました。まだ兄が20歳の頃からの創業で、現在では兄弟ともに、まだ30歳ほどで最も若い年齢層で自力でビリオネア(1000億円以上の資産家)になった起業家です。

オンライン決済の手間を排除したEC決済

オンライン決済では、カード番号を記入したり銀行口座を指定するなど、手間がかかります。先に紹介したペイパルを利用しても、ペイパルのアカウントならびにパスワードが必要です。

コリソン兄弟は、このような手間を排除した、より簡便にスマートに行える、それでいながらセキュリティもしっかりと担保されたEC決済を模索します。そうして作り上げたのが、同社の電子決済サービスです。

クレジットカードと携帯電話
写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM
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彼らの考案したアルゴリズムならびにシステムは画期的で、ペイパルも含めたこれまでの電子決済導入のハードルを、一気に下げました。ハードルは、利用者、事業者どちらもです。

私は実際にアメリカのECサイトやアプリ内で何度かストライプの決済サービスを利用していますが(表立ってストライプとは書いていませんが、決済のスムーズさや、裏のコードを見ると分かります)、何かを購入し決済するときに、クレジットカードの番号を打ち込む必要はありません。たとえば、セキュリティコードを打ち込むだけで決済が完了します。

仕組みはクレジットカードの番号やローマ字の名前などの情報を、スマートフォンのカメラで読み込むだけで、AIが自動的に文字を読み込み入力してくれるのです。実際に利用してみると分かりますが、これまでの電子決済に比べ、はるかに楽に決済できます。