わが子の「ポジティブ感情のスイッチ」を見つけよう

見てきたように、子どもたちのポジティブ感情を引き出すことで、ネガティブ感情は緩和され、思考(視野)を広げる効果が生まれます。

ポジティブ感情は免疫力を高めるという研究報告もありますから、心と体のエネルギーをアップしてくれるものであることは間違いありません。

ポジティブ感情といっても、ワクワク、興味、感動、リラックス、感謝など、種類はたくさんあります。親御さんたちには、お子さんがどんなポジティブ感情を経験するとエネルギーがアップするのか、お子さんが持つ“ポジティブ感情のスイッチ”に注目してみることをおすすめします。

もちろん、冒頭にお伝えしたように、ネガティブ感情を無視しないことは大前提です。

先の男子高校生の場合は、家族の交流の中で「こんな状況で不安になったり、とまどうのは当たり前だよ」と、彼の感じている焦りや孤独感は、誰もが持つ感情であることも伝えてもらいました。

手をつないで砂丘を登る家族
写真=iStock.com/DGLimages
※写真はイメージです

子どもたちが感じる「焦り」や「孤独感」は、自分だけでなく、誰もが感じているものだと知ることで、子どもたちは安心します。「ありのままの気持ち」を受け止めながらも、ネガティブ感情に対応できる力を育てていくことの重要性を親御さんたちが理解するだけで、子どもたちは必ず良い方向に進みます。

親の「言葉かけ」で子どもは変わる

今回のパンデミックだけではありません。環境の変化や学校での人間関係など、生きていくうえで、社会には「見通せないこと」「変えられること」「変えられないこと」がさまざまあります。困難に直面しながらも、その都度、自分の気持ちをあるがまま受け止めて、理解し、良い方向へ変化させていく力を育てる、それが「レジリエンス教育」です。

それを家庭で実践できるシンプルな方法が、親の言葉かけです。

親御さんがかける言葉ひとつで、子どもたちは、はっきりと自覚していなかった自分の感情と、そうした感情が生まれた理由に気がつくことができます。

自分の感情に気づくことができれば、その感情を受け入れ、対処することができるようになります。また、自分の気持ちを理解することは、自身が何を大切だと思っているのかを知ることにもつながります。感情はときに、自分にとって大切なものを教えてくれるのです。

家庭でこうした働きかけを繰り返すことで、親子のつながりも深まっていきます。

子どもが自分自身を知り、親子のつながりも強化する。そのプロセスが、子どもの逆境や困難から立ち直る力となって、人生を力強く歩んでいく強力な武器となるのです。

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